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令和6年度大阪府施策についての提言(令和6年8月5日実施)

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 令和6年8月5日、大阪維新の会府議会議員団は吉村知事に対し、大阪府施策についての提言をいたしました。
 岩本も政調役員として、主に環境産業労働常任委員会分野(商工労働部門・環境農林水産部門 )で作成にかかわらせていただきました。当日は、重点項目である7(4)人材不足を補うための戦略的な取組みの推進 、8(1)カーボンニュートラルの推進の2項目について発言しました。以下、提言の全文を掲載します。

はじめに ~ 東西二極の一極として日本の成長をけん引する「大阪」へ ~

 永年の二元行政がもたらす意思決定の欠如、戦略なきその場しのぎの対応がもたらした停滞する大阪を抜本的に改めるべく、One大阪を求める大阪維新の会が発足して十余年が経過した。
  二度にわたる大阪都構想はいまだ道半ばであるものの、大阪府市の意思決定は、知事市長が参加する副首都推進本部において一元化されている。大阪の成長と安全を支える大阪産業技術研究所や大阪産業局、大阪健康安全基盤研究所、そして大阪公立大学などの府市の機関統合に加え、府市共同設置組織である大阪都市計画局、大阪港湾局が設置され、府市連携は着実に進展してきている。
意思決定や執行が一元化されることで、大阪の成長戦略を描き、実践する道も開かれた。
  大阪ベイエリアにおけるIRの具体化、なにわ筋線、モノレール、淀川左岸線などの道路・鉄道をはじめとする都市インフラの強化、スーパーシティ型国家戦略特区の実証の場でもある「うめきた2期」といった具体的な成果もあがってきている。その中でも特筆すべき成果である2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、いよいよ開幕まで1年を切っており、機運醸成、チケット販売の促進、子ども無料招待事業の具体化など、まさに総仕上げに取り組むべき時期である。
  大阪・関西万博開催後も、わたしたち大阪府民の人生は続いていく。 2030年にSDGsを達成するべく、そして大阪が世界都市として更に発展し、大阪に暮らす全ての人が夢や希望をもって、日々をすごしていただける街を目指して本提言を取りまとめた。本提言の内容が、府政の施策に反映されることを切に願い、所属議員の総意として、その実現を要望する次第である。

(目次)( ★マークが今年度の重点項目)

1.日本の成長エンジン都市・大阪
(1)副首都・大阪の実現
(2)府市統合案件の今後のあり方検討★
(3)大阪健康安全基盤研究所の機能強化
(4)大阪府における水道基盤の強化
(5)基礎自治機能の充実強化
(6)財政運営のあり方
(7)法人府民税・事業税の課税のあり方
(8)世界に誇る大阪IR実現に向けた取組み
(9)府域一体となったスーパーシティ実現に向けた取組強化
(10)大阪広域データ連携基盤(ORDEN)の横展開と自治体間での共用化
(11)関西国際空港の機能強化と地域の発展

2.成長し続けるグローバル都市・大阪
(1)国際金融都市OSAKAの推進
(2)インターナショナルスクールの誘致と連携
(3)再生医療の成長産業化に向けた戦略的な推進
(4)大阪の観光資源の強みを生かした魅力発信・府域周遊等の取組み
(5)大阪ナイトカルチャーの充実と情報発信
(6)宿泊税制度の見直しと外国人観光客を対象にした徴収金の検討★
(7)バリアフリー観光先進都市の推進★
(8)大阪・関西の成長に必要な道路ネットワークの機能強化
(9)ライドシェアの取組みにおける、関空をはじめとした観光地での白タク取締り強化
(10)交通手段の確保(移動困難者支援)

3.大阪・関西万博の成功
(1)万博機運醸成の更なる推進
(2)万博来場者の安全で円滑な輸送・運送体制の確保
(3)府内全ての子どもたちの万博会場への安全安心な招待の実現★
(4)万博会場におけるユニバーサルデザインの確実な取組み
(5)万博開催にあたっての要人警護について

4.子ども輝く未来創造都市・大阪
(1)府外の私立学校に通う生徒への「授業料無償化」について
(2)給食費の無償化
(3)視覚支援学校のあり方検討について
(4)不登校児童生徒への支援拡充★
(5)海外留学生が入学しやすい環境整備としての秋入学の積極的導入と就職支援について
(6)外国にルーツを持つ子ども達への日本語指導
(7)教職員の働く環境の改善
(8)教員の働き方改革(部活動)

5.誰もが健やかに暮らせる健康長寿都市・大阪
(1)重大な虐待ゼロに向けた取組み★
(2)新子育て支援交付金枠の拡充についての検討
(3)放課後等デイサービスなど療育施設全体の質の向上
(4)児童精神科医不足の解消
(5)医療的ケア児支援の拡充
(6)ギャンブル等依存症対策の取組強化

6.犯罪のない災害・有事に強い安全安心都市・大阪
(1)大阪府の危機管理体制の充実強化に向けて★
(2)女性が防災に参画できる各種施策の取組みの強化★
(3)水害を防ぐための河川管理の推進
(4)ブロック塀一般についての安全対策
(5)特殊詐欺から府民の財産を守る★
(6)こどもたちを性犯罪・性暴力から守る取組み
(7)少年の大麻事犯への啓発強化
(8)体感治安の更なる向上
(9)選挙活動における候補者の安全確保、並びに街頭活動における妨害対策について
(10)外国人情報弱者が犯罪に巻き込まれない為の警察としての取組み強化

7.産業と自然が豊かな都市・大阪
(1)みどり豊かな大阪の実現に向けて
(2)中小企業の更なる成長に向けた支援体制のあり方検討とビジョンの策定
(3)大阪産(もん)のブランド力向上
(4)人材不足を補うための戦略的な取組みの推進★
(5)リカレント教育や在職者スキル向上に向けた取組みの推進
(6)大阪府での副業人材の活用について
(7)人と動物が共生できる社会の実現に向けた動物愛護管理行政の推進

8.課題解決型・持続可能な都市・大阪
(1)カーボンニュートラルの推進について★
(2)プラスチックごみの更なる削減
(3)フードロス削減について
(4)府社会福祉施設に対する物価高騰対策
(5)特定小型原動機付自転車、自転車の安全な走行空間の整備と違法走行の取締り強化
(6)自転車のヘルメット着用率向上
(7)特殊車両の取締り強化

以下、提言の本文

1.日本の成長エンジン都市・大阪

(1)副首都・大阪の実現
 昨年度閣議決定された「国土強靭化基本計画」と「国土形成計画」では、「リニア中央新幹線等の高速交通ネットワークにより三大都市圏を結ぶ「日本中央回廊」の形成により、人流・物流の多重性を確保し、東京に集中する中枢管理機能のバックアップ体制の強化を図る」という方針が示された。国において「政府業務継続計画」の見直しが検討されているが、府として、引き続き大阪が国の東京圏外での代替拠点として明確に位置づけられるよう働きかけること。
(2)府市統合案件の今後のあり方検討★
 府市統合案件のうち、病院機構、水道事業、消防事業をはじめとして統合に向けた動きが強く求められる案件については、副首都推進本部会議などの場を利用して、今後のあり方について議論を進めること。
 また、令和2年10月から大阪府と大阪市の港湾局が統合されているが、実態として一部の事務の一元化がされているにとどまり、それぞれの港湾管理者はこれまでと変わらず府市別々のままである。地域の利害に左右されず広域の利益を優先するために、意思決定や裁量権の一元化を目指すこと。
(3)大阪健康安全基盤研究所の機能強化
 今後の大阪の感染症対策の強化や公衆衛生の更なる向上に向けて、高度な知識や技術を有する人材の育成を図るとともに、研究所の環境の整備を図ること。また、これまでの研究結果や知見について、ヘルスケア等に加えて、新興感染症対策にも柔軟に活用できるよう、大阪府市の地方衛生研究所を統合・一元化した強みを最大限発揮できるよう取り組むこと。
(4)大阪府における水道基盤の強化
 人口減少社会を目前に、水需要も減少することを鑑みれば、施設の統廃合の積極的な取組みに加え、政令市も含めた府域一水道の実現の必要性はより高まると考えられる。府域の持続可能な水道インフラ整備、スケールメリットを最大化できるよう、これまで以上に政令市との協議を加速し、取組みを進めること。
 また、これまで厚生労働省が担ってきた水道行政が令和6年4月から国土交通省及び環境省へ移管された。水道整備・管理行政における現下の課題である、水道事業の経営基盤強化、老朽化や耐震化への対応、災害発生時における対応力の強化など水道整備・管理行政を国土交通省が一元的に担当することで、そのパフォーマンスの一層の向上が期待される。府は、国土交通省近畿地方整備局などと緊密に連携・協議を図ることに加えて、府内市町村の水道事業の実態や課題を一元的に把握し、取組みが進むよう支援策を講じること。安全・強靱・持続という水道の理想像を改めて念頭に置き、府民にとって最も重要なライフラインの強靭化を図ること。
(5)基礎自治機能の充実強化
 大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例が制定され、府の責務が明確化された。今年度は、府内市町村へのヒアリング結果や有識者への意見聴取等を踏まえ、知事を本部長とする大阪府基礎自治機能充実強化推進本部で基礎自治機能充実強化基本方針策定に向け議論が進んでいく予定。議会でも十分な議論の機会を確保し、基本方針を策定すること。基本方針に沿って、府は、市町村の将来予測に必要な情報提供や、広域連携の更なる促進、自主的な合併への支援等、財政措置も含めた具体的な基礎自治機能充実強化のための施策を実施すること。
(6)財政運営のあり方
 本来は交付税により措置されるべき財源が臨時財政対策債により代替されており、既往の臨時財政対策債の元利償還のために、新たに臨時財政対策債を発行する異常な事態が続いている。そのため、府における財政再建に向けた努力にも関わらず一向に府債残高が減らない状況が続くなど、国による財政運営のしわ寄せを地方が負っている状況が続いている。国に対して、地方交付税の法定率引き上げを求めることにより、臨時財政対策債に依存しない財政運営を引き続き粘り強く求めること。
(7)法人府民税・事業税の課税のあり方
 府においては、現在、他の都道府県と同様、一定の要件を満たす法人を対象に法人事業税及び法人府民税の超過課税を実施している。一方で、昨年11月から金融系外国企業等の誘致を進めるために、これらの企業に対して法人府民税・事業税を最大10年間軽減している。外国企業誘致策としてこの措置を否定するものではないが、これまで超過課税をご負担いただいた府内企業にとっては、不均衡が
生じているのではないかと考える。漫然と超過課税を続けるのではなく、どうすれば廃止することができるのか検証すること。
(8)世界に誇る大阪IR実現に向けた取組み
 IR立地により生み出される経済効果などによって、住民福祉の増進や大阪への投資、成長を実現するためには、魅力ある施設と質の高いサービスが継続的に提供できる、国際競争力を備えたIRを実現することが肝要である。
 このため、ホテル、MICE誘致、エンターテイメント施設等のIR施設において、例えば、世界のビジネスパーソンが家族同伴で滞在型のワーケーションを過ごせるような、ビジネス客やファミリー層が楽しめる、食や文化・芸能などの魅力あるコンテンツや府内を含んだ日本各地を周遊するプランをカジノ事業収益等を活用しながら充実を図るなど、公民連携して国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現に向けた取組みを実施すること。
 また、ギャンブル等依存症対策については、ワンストップ支援拠点「(仮称)大阪依存症セン ター」での支援体制の強化拡充や若年層を対象とした予防啓発を実施するなど、対策を着実に進めること。これらの取組みを府民に対して丁寧に説明、周知し、今後もIRへの府民理解向上につながる働きかけを継続的に行うこと。
(9)府域一体となったスーパーシティ実現に向けた取組強化
 本年6月、国土交通省がうめきた2期地区の公園管理へのAIカメラ導入及び3Dモデル活用に係る実証事業を「令和6年度スマートシティ実装化支援事業」の支援対象に選定し、いよいよ来月9月6日にうめきた2期の先行まちびらきが行われる。府市が協働して実現を目指す、大阪モデルのスマートシティ実現に向けた取組みが着々と進んでいる。一方、府域全域に目を向けると、地域医療を支える医療、介護人材等の不足や人口減少により公共交通サービスが縮小し、移動困難者が増加するなど、都市部とは異なる社会課題も見られる。そこで、スーパーシティ構想で定める2つのグリーンフィールドで進めているヘルスケアやモビリティなどの先端的サービスの実証や実装を、府域全体にどのように波及し、住民のQOLを向上させていくのか。市町村との連携や必要となる規制改革を含めた大阪・関西万博後の展開を具体的に示されたい。
(10)大阪広域データ連携基盤(ORDEN)の横展開と自治体間での共用化
 大阪モデルのスマートシティを実現するために重要なインフラである「大阪広域データ連携基盤(ORDEN)」の更なる充実とデータの相互利用やコスト削減を図るためには、自治体間でのデータ連携基盤の共用化が必須である。このため、大阪市など府内全市町村がORDENに参加する魅力やメリットを実感できるよう、丁寧な対話を重ねて問題点を整理し、市町村等の好事例も参考にしながら課題点の研究や技術連携を進めること。また、これらの取組みを着実に進めつつ、近隣府県との広域共同利用にも着手されたい。そして、いよいよ本格始動するmydoor OSAKAやORDENの仕様や機能等についてもしっかりと検討して設計をすること。
(11)関西国際空港の機能強化と地域の発展
 関西国際空港(関空)の容量拡張に向けた飛行経路の見直しについて、関空のお膝元である泉州地域9市4町で構成される「泉州市・町関西国際空港推進協議会」において、13市町からの協力が表明された。関空の機能強化による訪日外国人等の更なる増加に期待するところだが、空港と地域の共存共栄が非常に重要である。空港と共生する泉州地域の活性化に関する検討会議を設置する予定とのことだが、大阪・関西万博開幕を来春に控え、今後増加が期待される訪日外国人の泉州地域周遊促進など、関空の容量拡張を地域の発展へと繋げる取組みを推進すること。また、空港における地上支援業務の人手不足対策として、人材確保や労働環境の改善、省力化等を支援し、関空の容量拡張に対応できる体制整備を促進すること。

2.成長し続けるグローバル都市・大阪

(1) 国際金融都市OSAKAの推進
 本年6月に大阪が他都市とともに金融・資産運用特区の対象地域に選ばれた。特区実現パッケージの中で、地域の取組みとして各自治体が進める事項が示されている。国と協議し、投資を呼び込む環境作りを進めること。また、2月に国に提案した事項で今回認められなかった規制緩和や法人税の減税などについて、引き続き国へ要望すること。また、昨年度より拡充されたオープンイノベーション促進税制について、適用状況や実施効果を把握した上で、大阪独自の更なる取組みについて検討すること。
(2)インターナショナルスクールの誘致と連携
 大阪府は、海外にルーツを持つ子どもの数が増えてきている。外国人の持つニーズを満たす、学校の選択肢を増やすという観点からインターナショナルスクール誘致を進める必要がある。近年、岩手県、埼玉県でもインターナショナルスクールが設置され、多くの申し込みがあり両県への視察も多数行われているとのこと。高度外国人材のニーズに合致するインターナショナルスクール誘致は、大阪の国際金融都市実現に向けた都市の生活魅力の向上にもつながることから、市町村とも連携し誘致に取り組むこと。
(3)再生医療の成長産業化に向けた戦略的な推進
 本年6月29日、未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross」がグランドオープンとなった。彩都、健都に加え、再生医療の拠点として大阪のライフサイエンス産業の成長を加速させることが期待できる。今後、『産学官の更なる連携による効果的な情報発信』と『自由診療による受診内容の整理』、『再生医療の商品化』を行うなど環境の整備、未来の再生医療を担う人材の発掘など、再生医療の成長産業化に向けた戦略的な取組みを推進すること。
(4)大阪の観光資源の強みを生かした魅力発信・府域周遊等の取組み
 大阪・関西万博の開催やインバウンド需要による経済効果を府域全体に着実に波及させるため、観光やビジネス客等の集客・周遊促進の充実が欠かせない。このため、市町村や関連企業等と連携して、府内の魅力ある地域や体験イベント、歴史文化、食などを有機的に掛け合わせた周遊促進プラン等を実施すること。また、多くの来阪者に訪れてもらえるよう、プロモーションや情報発信を積極的に実施すること。
(5)大阪ナイトカルチャーの充実と情報発信
 大阪・関西万博の開幕まで1年を切り、来阪客の増加が見込まれる中、国内外からの観光客が大阪の夜の観光を楽しめるよう、そして、またとない観光需要を府域での夜間消費に繋げることができるよう、ナイトコンテンツの充実を図ること。例えば、イルミネーション・ドローンショーや舟運ナイトクルージングなど、府内の観光に携わる事業者にも働きかけ、内外の観光客に選ばれる大阪ナイトカルチャーの企画、発信に努めること。また、「大阪府ナイトカルチャー発掘・創出事業補助金」においては、大阪の魅力が存分に伝わる企画を選ぶなどし、来阪客が、また大阪に来たいと思うような企画や実施主体を選定すること。
(6)宿泊税制度の見直しと外国人観光客を対象にした徴収金の検討★
 大阪・関西万博後やIR開業も見据え、今後の観光振興ニーズをしっかりと積み上げるとともに、必要となる財源として宿泊税制度の見直しを早急に進めること。また、観光客の利便性や快適性の向上のみならず、来阪する誰もが駅周辺や観光地、宿泊施設等で快適に過ごすことができるよう、観光客の受入環境整備の継続的な拡充が必要である。現時点において、府内では、オーバーツーリズムは
深刻化していない状況であるが、今後の外国人観光客の増加を鑑み、その未然防止・抑制等のため、外国人観光客を対象にした徴収金のような制度を他国の事例も参考にしながら検討を進めること。更に、現在、大阪・関西万博開催期間中の教育旅行の宿泊税減免措置が取られているが、今後も多くの方に大阪を訪問いただけるよう、万博期間終了後も継続すること。
(7)バリアフリー観光先進都市の推進★
 インバウンドの増加や大阪・関西万博開催、また高齢者や障がい者、子育て世帯の外出増加により、府内における大規模鉄道駅等の利用頻度は加速し続けている。おもてなし精神溢れたバリアフリー観光先進都市にふさわしい駅となるよう、鉄道事業者と密接に連携し、大規模鉄道駅等については、バリアフリールートの複数化を計画的に推進すること。また、別事業者間含め乗り継ぎルートにある段差などのバリアフリー化についても今一度洗い出しを行い、最短ルートで乗り継ぎが行えるよう事業推進すること。加えて、駅の利用状況に応じ、エレベーターの複数化や大型化など計画的に推進すること。バリアフリー整備に要する費用を運賃に上乗せできる新料金制度が創設され、府内では、各社において、同制度を活用し、エレベーター設置など鉄道駅のバリアフリー化に取り組まれている。引き続き、国や地元自治体と連携して、新料金制度未活用の事業者にもご協力いただきながら大規模鉄道駅等のバリアフリー化の取組みを進めること。 加えて、多くの方が利用される府道や府営公園、建築物などにおいてもバリアフリー化に積極的に取り組み多様な方々が安全に快適に過ごせる大阪府を実現すること。
(8)大阪・関西の成長に必要な道路ネットワークの機能強化
 人・モノ・サービスが自由に行きかうことで、活力を生み出す大阪を実現するためには、産業の基盤インフラである道路の整備をしっかりと進めることが重要である。大阪・関西万博やIR、インバウンドといった経済効果を府域全体に着実に波及させるため、また、在阪する全ての人の利便性向上と安全・安心の強化に向けて、大阪都心部や空港といった主要プロジェクトと府内各地を結ぶ都市計画
道路等の整備や延伸が必要である。今後、求められる課題としては、関西の2大観光拠点である大阪、京都間のアクセス向上や府域の主要渋滞箇所の整備着手、また、高速道路までのアクセスが悪いエリアに対する利便性の向上などがある。淀川左岸線(2期)の整備完了を見据え、今後、東西の一翼を担う副首都にふさわしいネットワーク機能強化に向けた道路整備を着実に進められたい。
(9)ライドシェアの取組みにおける、関空をはじめとした観光地での白タク取締り強化
 本年5月より大阪でもライドシェアがスタートしたが、関空をはじめとした観光地では道路運送法で禁止されているいわゆる白タクの横行が懸念される。利用者の安全や運送業の健全な発展を推進するために、白タク対策を強化すること。
(10)交通手段の確保(移動困難者支援)
 移動困難者支援の取組みの重要性が高まっている。路線バスの減便、廃線が著しく府民が不便を強いられる状況が広がっているためである。地域公共交通の維持のためには、地域の実情に応じた取組みを進めることが重要であるが、府においては、広域的な立場から、市町村や交通事業者に対する支援が必要と考える。例えば、路線バスの不足を補うため、府内を走る企業や大学等のバスを活用して運行の効率化を検討するなど、先進事例も踏まえながら、持続可能な交通手段の確保策が検討できるよう支援すること。

3.大阪・関西万博の成功

(1)万博機運醸成の更なる推進
 大阪・関西万博の開催は、海外に大阪の多様な魅力を発信し、大阪への関心を高め、来阪や企業進出、投資、具体的なビジネスマッチング等につなげ、ひいては大阪の持続的な成長を目指していく絶好の機会となる。開幕まで1年を切り、各地で機運醸成のイベントが開かれるなど、大阪・関西万博の認知度は着実に増加している。一方で、前売り入場券の売れ行きの鈍さが課題となっており、開幕 までの限られた時間で国内外の関心を一気に高める必要がある。更なる機運醸成を図るため、近隣テーマパークと連携した割引チケットを販売する等、企業や関係団体とも連携して、来場者の関心や動機を高める取組みを拡充すること。また、大阪の多様な魅力について海外への発信を強化するため、訪日外国人が多く集まる施設等に協力を求めてPR動画を流すなど、情報発信に努めること。
(2)万博来場者の安全で円滑な輸送・運送体制の確保
 大阪・関西万博来場者の安全かつ円滑な移動と万博開催時の混雑緩和を実現するため、輸送・運送体制の強化が急務となっている。万博開催時は、交通行動の変更を促し、発生交通量の抑制や集中の平準化を行うため、交通需要を調整しながら交通混雑を緩和していく取組みが必要となる。このため、交通各社と連携した新たな代替ルートの設定や地下鉄等の増便、交通系アプリの経路検索機能を有効活用した代替ルートや混雑情報の照会、在阪企業等の一体的なテレワークや時差出勤など、あらゆる対策を積極的に採用することにより、万博開催時の輸送力強化と混雑緩和を強力に進めること。加えて、万博会場までのアクセスについて、来場予定者の不安を払拭できるよう情報発信の強化を図ること。
(3)府内全ての子どもたちの万博会場への安全安心な招待の実現★
 「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」は、大阪の未来を担う子どもたちにとって教育的効果が大きいことから、子どもたちが時期を逸することなく参加できるよう事業を円滑に実施されたい。そこで以下を要望する。
■現在、学校への情報提供のスピードとその量は十分とは言えないことから多くの学校現場より困惑の声が聞かれる。学校が必要とする情報の早期提供を博覧会協会はじめ関係機関に対し強く求めること。
■来場後の休憩をする場所、パビリオンの予約については10月13日から予約ができるようになるとのことだが、混乱を招かぬよう事前の説明会を開くなどし、十分に対策を講じること。
■3月28日に発生した可燃性ガスによる事故に対し、博覧会協会から会期中の安全対策について示されたが、依然不安に感じている保護者は多い。教育庁は、博覧会協会に対して早急に安全宣言を促す
など、誰もが安心して来場できる環境を整えるよう要望し、保護者をはじめ子ども達が安全・安心に来場できるよう、迅速かつ正確な情報発信に努めること。
(4)万博会場におけるユニバーサルデザインの確実な取組み
 大阪・関西万博におけるユニバーサルデザインの取組みについては、「施設整備」や「交通アクセス」、「来場者サービス」に関するガイドラインが、府市も参画する博覧会協会の各検討委員会において検討の上、策定・公表されている。このガイドラインに基づいた施設整備が行われているかについては、基本設計から工事完了の段階で協会が確認を行うことになっていると理解している。
また、配慮を必要とする方々に対して、それぞれのニーズに沿ったサービスが十分に提供できるよう、有識者や障がい当事者の意見を十分に聞くことに加え、会場スタッフやボランティアに対する「ユニバーサル研修」にも力点を置き、多様な来場者に細かな配慮ができる人材育成にも努めていただきたい。来場者の誰もが温かい日本の心を感じ、今後の社会にも真のユニバーサルデザインのまちづくりが広がっていく大阪・関西万博を実現すること。
(5)万博開催にあたっての要人警護について
 大阪・関西万博開幕まで1年を切る中で、現時点では、スケジュールや警護対象等が明確ではないが、大阪府警察で実施したG20等の経験等を活かし、訓練の重層化や練度の強化等に取り組みつつ、要人警護体制に万全を期すること。

4.子ども輝く未来創造都市・大阪

(1)府外の私立学校に通う生徒への「授業料無償化」について
 無償化の理念は、家庭の経済状況にかかわらず、大阪の子どもたちが学びたい学校で、等しく質の高い教育を受けられるようにすることにある。引き続き府内及び近畿1府4県の私立高校等に対し、私立高校等の授業料無償化制度への参画を積極的に働きかけるとともに、丁寧な説明を実施すること。また、府外の高校へ通う子どもたちへの支援を引き続き検討されたい。
(2)給食費の無償化
 給食は子どもたちの成長や食育の観点から大切で、物価高の中、地域や学校で分断や格差が生まれるのは望ましくない。給食費の無償化について、自治体の財政状況によらず実施できるよう、「保護者の経済的負担の軽減」「少子化対策」としても、国による財政措置がなされるよう引き続き府として要望されたい。
(3)視覚支援学校のあり方検討について
 北視覚支援学校(大阪市東淀川区)は元大阪市の施設、南視覚支援学校(大阪市住吉区)は元大阪府の施設であった。現在、南視覚支援学校は平成27年に新校舎となったが、北視覚支援学校は築60年となり老朽化対策として改修をおこなっている。視覚支援学校への入学者は年々減少傾向にある一方、地域の小学校へ就学する視覚障がい児童生徒は増加し、地域支援のニーズは高まってきている。支援学校が、地域支援を担うセンター的機能としての役割を維持しつつ、統合を図るなど、今後の視覚支援学校のあり方について検討されたい。
(4)不登校児童生徒への支援拡充★
 小中学校において、校内教育支援ルームの数は全体的に不足しており、必要とされる学校に設置できていない状況がある。まずは市町村との連携をしっかりと図り、必要とされる小中学校に対し、優先的に校内教育支援ルームを設けること。その上で、より多くの校内教育支援ルームを設ける事を要望する。
 校内教育支援ルームにおける支援員について、現状では教員免許を持つ者に限り採用しているが、生徒児童のケアに関わる資格を有する者を積極的に採用するなど、採用条件を検討すること。また、今後は教員を目指す者等の学生を雇用できるようにするなど更なる採用条件の見直しを行い、支援員の拡充を目指すこと。また、府立高校においては、例えば、不登校生徒の居場所として図書室の常時開放も視野に入れるなど、生徒の支援を必要な時にいつでもできる体制を整備すること。
(5)海外留学生が入学しやすい環境整備としての秋入学の積極的導入と就職支援について
 海外から優秀な留学生を受け入れ、地域への就職を推進することは、大学の国際力を高めるのみならず、大阪の成長や国際力の強化につながる。大阪公立大学では、次期中期目標期間において、大阪の国際都市化に向けて、全ての大学院と一部の学士課程での秋入学の導入を目指し、課題整理や対応策の検討を進めているとのこと。更に学士課程において導入する学部等を広げていき、海外からの留学生を受け入れやすい環境にされたい。加えて、外国人留学生に対し卒業後の地域への就職支援を推進すること。
(6)外国にルーツを持つ子ども達への日本語指導
 今年度より、教員採用試験において日本語指導資格所有の場合、教員採用試験にて加点されることとなったが、即座に現場で対応できる教員増加には繋がらない。今年度より枠校の一つである府立大阪わかば高校(大阪市生野区)において、日本語指導の必要がある府内小中学校の教員を招き、日本語指導の講習が始まったが、このような研修が積極的、かつ継続的に展開されることを要望する。
 また、今回は小中学校の教員が対象であるが、今後は府立高校における枠校にて現場対応する教員も受講できるように配慮する。このような研修によって、育った教員においては、異動に関し配慮することを強く要望する。
(7)教職員の働く環境の改善
 教職員の働く意欲をより高めてもらう為にはより働きやすい環境を整えることは重要である。まずは職員室などをはじめ、教職員が利用する箇所の実態や、使用する備品等に関し調査を行い、老朽化の著しいものに関しては早急に更新を図り、少しでも教職員の働く環境の改善に努めること。また、教職員の私物が業務で使用されている現状があることから、学校ごとの実情に合った改善に取り組
み、教職員に負担を求めない職場環境を構築すること。
(8)教員の働き方改革(部活動)
 教員の働き方改革について、客観的なデータに基づいた議論を進めるため、基本的な勤務状況を把握するとともに、課題を明らかにするためのアンケートを実施した結果、教員が週休日等の部活動に充てる時間が増加すると、教員の時間外在校時間が増える要因の一つとなることが明らかとなった。働き方改革推進のためには教育庁と学校が一体となり、働きやすい環境を整えることは重要である。
 今後は、学校経営計画への位置づけなど、部活動方針の遵守を徹底できる環境をしっかりと整えること。また校長等が当該顧問の部活動指導時間などを適切に把握し、部活動の適切な管理ができるよう府としてサポートすること。

5.誰もが健やかに暮らせる健康長寿都市・大阪

(1)重大な虐待ゼロに向けた取組み★
 新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランによる、児童福祉司の配置標準に対して、府では基準に大幅に足りておらず、一人のケースワーカーが抱えるケース数が非常に多いのが現状である。児童福祉司の増員及び指導教育を担うスーパーバイザーの育成のため、引き続き、組織全体の専門性の確保・維持に資する人員確保及び人材育成について強力に推し進めること。
 また、中核市での児童相談所設置の動向も踏まえ、中核市の専門職員の育成や運営ノウハウの提供等は、今後の児童福祉行政の適正かつ安定した運営に必要不可欠であるため、市と十分な協議を重ね、対応すること。
(2)新子育て支援交付金枠の拡充についての検討
 市町村に交付される新子育て支援交付金については、市町村が地域の実情に沿って活用できるよう実施されているところであるが、運用開始から一定期間が経過しており、また、昨今の国におけるこども・子育て政策の一連の動向等も踏まえ、市町村の取組みも多様化してきている。これまで以上に、市町村の子育て支援・児童福祉向上に資するよう、新子育て支援交付金の拡充を検討すること。
(3)放課後等デイサービスなど療育施設全体の質の向上
 発達障がいのある子どもの数は年々増加を続けている。また、発達障がいのある子どもは被虐待児となっていることも多く、保護者自身が子育てに困りやむ無く虐待に走ってしまう傾向にあるとされている。子どもたち一人ひとりの特性に合った支援、療育の体制を整えることや、発達障がいのある我が子への関わり方に悩む保護者の不安、孤立感に寄り添い、きめ細やかにサポートする体制づくり
は急務である。
 府においては、市町村職員や民間の事業所の管理者やスタッフなどが、発達障がいのある子どもへの適切な支援の方法や保護者への支援の方法などについて、専門的な知見を基にした継続的な研修を受けられる体制を整え、事業所の質の向上に繋げること。また、不正を行なった放課後等デイサービスなどの事業所がペナルティを受けることはもとより、適切に取り組まれている事業所にインセンティブが働く仕組みの構築や不正の未然防止策の強化を国に要望すること。
(4)児童精神科医不足の解消
 近年、発達障がいのある子どもや、不登校になる子どもの増加などにより、児童精神科のニーズが増える一方で、児童精神科医の少なさから診療を必要とする子どもが受診できない事態が起きている。まずは、地域医療の中に児童の精神的なケアを位置づけ、国とも連携を図り、児童精神科医の育成や、発達障がいを診断し、継続的にアドバイスのできる医師の養成に向けた体制作りに取り組むこと。
(5)医療的ケア児支援の拡充
 医療的ケア児を受け入れることが可能な短期入所施設が不足しているため、ケア児の状態によっては、利用できない現状がある。医療型の短期入所施設が充実することは、医療的ケア児を持つ保護者のレスパイトとなり、親・子ともの自立にとっても大きな意義がある。府は、市町村や関係各所との連携のもと、府内全域の医療型短期入所施設不足の解消に努めること。
(6)ギャンブル等依存症対策の取組強化
 府では依存症対策拠点「OATIS」を主軸とし依存症体制支援を実施しているが、今後、(仮称)大阪依存症センターの整備を目指す中、精神科医を始めとする専門人材の確保や機能整備に加え、必要な予算を措置すること。また、オンラインカジノやオンラインに起因する、ギャンブル等依存症に係る問題が顕在化している中、国に対し、その実態を把握し、適切な法整備を働きかけること。大阪依存症センターの早期実現に向けた礎ともなる、第2期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画を着実に推進し、あらゆる依存症対策の取組みを強化すること。

6.犯罪のない災害・有事に強い安全安心都市・大阪

(1)大阪府の危機管理体制の充実強化に向けて★
 能登半島地震被災地への府の職員派遣が一定程度終了したことを受けて、 延べ1万人以上の職員が派遣されているが、現地での経験や知見を丁寧に拾い上げて、府の危機管理体制を充実させるためにしっかりとフィードバック出来るように南海トラフ地震への対策や、令和6年度に改定が予定されている「新・大阪府地震防災アクションプラン」に組み込むこと。
(2)女性が防災に参画できる各種施策の取組みの強化★
 近時、災害が発生するたびに公共施設等において避難所が開設されている。避難所は、多くの方がある種の共同生活を行う場となり、その運営にあたっては、女性が意思決定に参画できるように配慮し、多様なニーズを取り入れた避難所環境が求められている。府で策定している避難所運営マニュアル作成指針において、女性の視点に配慮した内容が記載されたと聞いているが、今回の能登半島地震では、多くの避難所において、女性や外国人等の声が運営面に十分に反映されていないとの報道もあった。
 女性が防災に参画するため、指針を示すだけでなく、市町村や民間と連携し、地域住民が有事を想定して、避難所運営について話し合えるように取組みを行い、女性防災士を増やすために基礎自治体へ補助を行うなど、多くの女性が防災に参画できるよう各種施策を講じること。
(3)水害を防ぐための河川管理の推進
 河道内における樹木は、洪水の流勢の緩和等の治水機能、生態系の保全、良好な景観形成等の環境機能等を有しているが、洪水時に流木・漂着ゴミによる流水断面の阻害等が発生すると、河道に狭窄部が生じ、水位が上昇し、越水など大規模な被害を及ぼす可能性がある。河道内における樹木の伐採に当たっては、河川阻害率の観点だけでなく環境美化や外来生物の駆除の観点からも維持管理のあり
方を検討し、必要な予算を確保すること。
(4)ブロック塀一般についての安全対策
 大阪府北部地震後に府内の特定行政庁で通学路沿道を中心とした危険性のあるブロック塀の調査を実施されたが、府が指導・監督するブロック塀では、危険性のあるブロック塀220件の約7割が是正対応済みである一方、府内全18行政庁が指導・監督するブロック塀では、危険性のあるブロック塀約1,700件のうち、是正対応済みは約4割と大変低い割合となっている。
 危険な状態を一刻も早く解消するため、府内の各特定行政庁においても是正対応が進むよう、府として取り組むこと。
(5)特殊詐欺から府民の財産を守る★
 府内において、いまだ特殊詐欺の被害が減らず、平成23年以降最多の被害件数と聞いている。被害防止にこれまで以上に取り組むとともに、架空料金請求詐欺や還付金詐欺の未然防止に、府内自治体また民間企業と連携を深めること。
 また、特殊詐欺の手口は、社会情勢に応じて様々に変遷し、犯行グループの拠点も広範囲に至っているケースが多い。今までも、各種対策を講じてきているが、いまだ減らないため、抜本的な対策を望んでいたところ、今般、特殊詐欺対策強化に向け、安全なまちづくり条例の改正が検討されているところである。条例の改正にあっては、府民や有識者の知見を丁寧に拾い、より実効性のある施策が推進できるように取り組むこと。
(6)こどもたちを性犯罪・性暴力から守る取組み
 本年6月に「こども性暴力防止法」が成立したことを受け、府としても施行までの期間に本制度の周知を行い、関係者への理解を促進することで、教育や保育の場においてこどもたちを性被害から守る取組みを更に進めこと。教育現場においては、校長、教頭を先頭に関係者が積極的に連携し、性暴力や性被害などの課題に対し、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解できるようこどもたちに働きかけること。また、不同意性交等罪など刑法改正等に関する情報を正確に発信し、性的同意に対して適切な学びを深められるような環境整備をすること。
(7)少年の大麻事犯への啓発強化
 府においては、大麻の乱用で検挙・補導される少年の人員が全国で最も多い状況となっている。インターネットなどでは、「大麻は他の薬物より安全、害がない、海外では合法化されている」等、警戒心を薄れさせる情報や、SNSでの購入も増えており、早急に対策が必要である。このような現状の中、「大麻取締法」が昨年12月に改正された。これを契機に、大阪府警察が、更に教育庁等と連携し、「大麻の違法性・有害性」について、啓発を行うとともに、再犯防止のために、少年健全育成サポートチーム等による立ち直り支援を引き続き進めること。
(8)体感治安の更なる向上
 大阪府警察においては、交番等の最適化を計画しており、そのことにより人的資源の集中による治安向上を目指しているが、府民からは、交番自体が減少することへの不安が払拭されていない。住民目線に立ち、交番等の最適化を進めつつ、更なる体感治安を向上させるためには、他県で導入されているようなアクティブ交番の導入を行うことが重要だと考える。限られた財源で治安維持にも貢献しているアクティブ交番の他県での導入事例を取り入れ、早急に進めること。
(9)選挙活動における候補者の安全確保、並びに街頭活動における妨害対策について
 本年の衆議院東京15区補欠選挙や、「大阪都構想」の住民投票において様々な活動妨害、迷惑行為が発生していた。このような行為を放置することは、選挙運動の自由、ひいては民主主義の根幹を揺るがしかねない由々しき問題である。公職選挙法の改正の議論もなされつつあるが、問題の重大性に鑑み、現行のあらゆる法令を駆使して、選挙妨害への対策、取締り強化を進めること。
(10)外国人情報弱者が犯罪に巻き込まれない為の警察としての取組み強化
 大阪府警察が、在留外国人の方々を多く受け入れる企業や学校等を訪問し、日本の法律や交通ルール、危険性等について、説明、注意喚起を行っているが、来日のタイミングが異なることが多いため、説明を受ける機会を逃すことが見受けられる。そのような場合でも、多言語のパンフレット等を準備する等、新たに来日する外国人に対しても情報が行き渡るよう取組みを行うこと。
 また、日本の生活面や交通マナー以外にも、近年、流行りの犯罪事例等を示し、日本に来て間もない若い外国人が、既存の犯罪グループにまきこまれないように取組みを強化すること。

7.産業と自然が豊かな都市・大阪

(1)みどり豊かな大阪の実現に向けて
 大阪の都市地域におけるみどりの創出は、良好な景観形成による都市格の向上とヒートアイランド現象を緩和する、重要な課題である。みどり豊かな大阪の実現に向けて、府有施設の更なる緑化推進や、市町村管理施設や民間施設の緑化促進等、公民連携の緑化推進を進めること。また、大阪・関西万博や全国豊かな海づくり大会などの機会を活用し、緑化に対する府民意識を醸成し、更に全国植樹祭招致についても検討すること。
(2)中小企業の更なる成長に向けた支援体制のあり方検討とビジョンの策定
 開催前年度を迎えた大阪・関西万博では、大きな需要が喚起されることが見込まれている。府においては府内中小企業が、そのチャンスを掴むことができるような取組みや資金的にも有利に融資を受けることができるような取組みも推進されているところであるが、そうした府内の中小企業が大阪に拠点を置き、グローバルに活躍し、更なる成長を目指すことができるよう、支援体制のあり方の検討を行い、そのビジョンを策定すること。特にもずやんモールは直接的に大阪・関西万博のインパクトを享受しやすいものであるが、登録企業や受発注数が依然目標には程遠いことから、全庁的に連携し取組みを推進すること。
(3)大阪産(もん)のブランド力向上
 大阪産(もん)は、大阪農業の成長を担う重要な生産品だが、依然生産力に限りがある。新規就農者でもコストを抑えて品質の高い大阪産(もん)の生産ができるよう、データ農業を活用することが重要。環境データの蓄積に協力してくれる先進農家を積極的に募り、モデル作成に取り組むと同時に、作成したモデルを新規就農者が継続的に活用できるよう支援を行うこと。また、都市近郊農業にマッチした農作業の省力化に役立つ、スマート農業の機器の調査研究を行い、導入の支援を検討すること。生産した大阪産(もん)のブランド力を更に高めるべく、イベントによる発信のみならず、多様な機会や媒体を活用し、より一層広くPRすること。更に、大阪産(もん)の需要を拡大することも重要。国内外問わず、大阪産(もん)の販路拡大に資する機会を積極的に創出し、特に大阪・関西万博では積極的に新たな販路拡大につながる取組みを実施すること。
(4)人材不足を補うための戦略的な取組みの推進★
 生産年齢人口の大幅な減少に伴い、これから民間各所で大幅な人手不足問題が想定され、業界によっては顕在化し始めている。
こうした状況の中、大阪の更なる成長を実現していくためには、人手不足の状況について、しっかりとした現状把握を行い、また将来トレンドを見据えた上で育成・確保していく取組みが重要である。
 女性や高齢者、障がい者や引きこもり、生活保護受給者など、人材の掘り起こしを行うとともに、就労・生産性の向上につながるリスキリング支援、海外人材の渡日就労に対する支援、人材の定着支援など、戦略的な人材確保について取り組むこと。
 また昨今、副業・兼業・ギグワーク・フリーランス・スポットワークなど、従来の終身雇用にとらわれない様々な働き方が登場してきている。現在、そして将来の人手不足にはこうした様々な形態の社会受容性を高めていくことが肝要である。大阪では中核人材雇用戦略デスク事業やスポットワークのコンサルティング事業等に取り組んでいるが、特に中小零細企業において導入が進むよう、更なる
取組みを行うこと。府内の労働需要を満たすべく、府として様々な形で労働力供給の増加に向け戦略的に取り組むこと。特に、首都圏には生産年齢人口が集中していることから、ターゲットとして取組みを行うこと。
 業種・業界によっては求人募集を行っても応募が集まらず、継続的な操業自体が困難になっていく状況も想定される。少ない人数で多くの作業を行う省力化・省人化の取組みが有効であることから、DX化をはじめとする府内企業の省力化・省人化の支援を図ること。
(5)リカレント教育や在職者スキル向上に向けた取組みの推進
 働きながら学ぶ社会人を支援し、府内企業の労働生産性の向上を更に引き上げ、大阪の経済成長を前に進めることが重要。高等職業技術専門校で実施しているテクノ講座をはじめ、既存のリカレント教育施策を積極的に活用していただけるよう、府内企業や、企業で働く社会人に対して発信を強化し、同時に、社会人がリカレント教育を受けることに対する社会受容性の向上のための取組みを推進すること。
 また、府はコロナ禍における就職活動の支援として特設ホームページ「にであう」を設置し、様々な取組みを実施してきた。「にであう」というプラットフォームはすでに府民の皆様に定着しており、その中で発展してきた民間企業とのコンソーシアムや、にであうトレーニングなど、在職者スキル向上のためにも継続していくべきものが多くあり、中身の部分を継続していくこと。
(6)大阪府での副業人材の活用について
 現在、府は外部人材の活用として、任期付職員や民間企業に勤務する職員が派遣元企業の身分で府の業務に従事する民間交流員、または非常勤職員の制度がある。しかし全体としてその勤務者数は依然少ない。特に非常勤職員は、所属がそれぞれ任用手続きを行っているため、活用事例の横展開がないし、人事戦略の視点が欠けている。人材不足の昨今の状況から外部人材の活用は重要であり、副業としてアドバイザーや短期プロジェクトごとに採用できる非常勤職員の活用を検討し、総務部主導で推進すること。
(7)人と動物が共生できる社会の実現に向けた動物愛護管理行政の推進
 人と動物が共生できる社会の実現に向け、動物愛護管理行政を更に進めていくことが必要である。ペットショップにおける多頭飼育崩壊について、未然防止に向け飼養繁殖する事業者に対し管理基準を徹底するよう指導監督すること。
 また仮に多頭飼育崩壊が生じた際には、動物たちが適切に保護されるよう、マニュアルの作成等を行い、スピード感を持って対応できる環境を整えること。第一種動物取扱業登録の運用において、様々な規制や条件が設けられているが、廃業時については現状、廃業届の提出のみで処理されており、廃業時に残存する動物の個体について、どのような状況かは確認がなされていない。今後、残存する動物の所在を適正に管理することができるようマニフェスト添付を義務付けるなど、残存する動物の所在を確実に把握できるよう取り組むこと。

8.課題解決型・持続可能な都市・大阪

(1)カーボンニュートラルの推進について★
 SDGs達成に向けたカーボンニュートラルの取組みとして、廃食用油やバイオマス等を原料に航空燃料を生成する「SAF燃料」の製造技術がある。従来の航空燃料と比べてライフサイクルでCO2排出量を大幅に削減でき、世界的には航空機に積極的に使用されており需要が見込まれる。府内では国内初の製造施設の建設が進んでいるが、廃食用油を十分に回収できていない状況にある。SAF燃料の活用は、CO2削減のみならず廃棄物の削減にもつながり、府のカーボンニュートラルの取組みにも資するものであり、促進プロジェクトへの参画等、府域全体で廃食用油の回収の取組みが広がるよう取り組まれたい。
 家庭系の廃食用油の多くは固めて捨てられるなどしており、分別回収に取り組む自治体は府内でも限られている。脱炭素への具体的な行動変容につながり、各市町村の廃棄物削減が期待できることから、府としても市町村に回収を働きかけ、また、府民への周知・啓発を行うこと。事業系の廃食用油の回収については、飲食旅館関係団体や食品系工場へ周知・啓発すること。
 また、大阪・関西万博では未来社会に繋がる最先端の技術を広く世界に発信できる機会となることから、同会場内及び府内で回収促進や周知の取組みを行うこと。
(2)プラスチックごみの更なる削減
 令和8年に大阪府で初の「全国豊かな海づくり大会」の開催が決定し、大阪湾の環境保全の重要性はますます高まりを見せている。府では、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向けて、実行計画に基づき2030年度に大阪湾に流入するプラスチックごみの量の半減などを目標としているが、実現には住民、事業者、NPO等の民間団体、自治体など幅広い関係者との連携が不可欠。連携の核となる、おおさかプラスチック対策推進プラットフォームをより積極的に活用すべく、府内自治体等への参加を促進すること。また、プラスチック流出対策、プラスチックごみ排出抑制のための様々な施策を行う多様な主体の支援を推進すること。
(3)フードロス削減について
 府では食品ロス削減に向けての取組みとして、おおさか食品ロス削減パートナーシップ制度により事業者と連携した取組みを行っている。しかしながら、この事業者数が49にとどまっており、依然取組みが限定的であることから、呼びかけを強化し事業者を更に増加させるとともに、また有効な取組みが広がっていくよう、事業者間での連携も促進を図ること。
(4)府社会福祉施設に対する物価高騰対策
 府は、国の物価高騰対策臨時交付金を活用して、大阪府社会福祉施設等物価高騰対策一時支援金事業を実施してきたが、今も物価高騰は止まらず、更に、本年5月末には電気・ガスの料金支援も終了し、施設の運営は非常に厳しい状況に陥っている。臨時交付金は継続的なものではないことから、今後、府として交付金無しに実施できる福祉施設への物価高騰対策を新たに検討し、実施すること。また、国に対しては、物価高騰を考慮した報酬の改定を時期に拘らず臨機応変に実施することや、福祉施設における電気・ガス料金の負担軽減を要望すること。
(5)特定小型原動機付自転車、自転車の安全な走行空間の整備と違法走行の取締り強化
 昨年、特定小型原動機付自転車の交通方法等に関する規定が施行され、原動機付自転車のうち一定の要件を満たすものは、特定小型原動機付自転車として、16歳以上であれば、その運転に運転免許を要しないこととされるなどの新たな交通ルールが適用されることになった。自転車同様、便利で免許不要な乗り物として、若者を中心に目にする機会が増加し歩道通行や右側通行などの無謀な運転が街中で散見されている。
 また、自転車においても、スマホの「ながら運転」、信号無視等の違法走行が見られ、交通事故も多く発生している。このような中、本年5月に、自転車の交通違反に反則金を納付させる、いわゆる「青切符」による取締りを盛り込んだ改正道路交通法が成立し、2年以内に施行される予定である。
 交通マナー遵守への機運が高まりを見せる中、悪質運転者への更なる取締りを強化するとともに、適法かつ安全に利用されるよう、交通ルールの周知に向けた取組みや啓発活動を行うこと。更に、歩行者にとって安全な道路環境の整備に取り組むために、地域住民から改善要望のある危険箇所へのガードレール等の設置など歩行者空間の確保等の安全対策を強化できるよう、道路管理者と連携すること。
(6)自転車のヘルメット着用率向上
 道路交通法改正で、昨年4月から自転車のヘルメット着用が努力義務化されたが、今年に入り4月までに自転車事故で亡くなった9人のうち、ヘルメットをかぶっている人は一人もいなかったとのこと。ヘルメット着用有無による死亡率は二倍差にも上る。ヘルメット着用率向上に向けた取組みを引き続き推進するとともに、これまでの取組みの中で実施した様々な啓発事業の目的達成率や事業の効
果については不透明なため、事業評価にも積極的に取り組むこと。
 また、府として府内市町村のヘルメット購入補助制度導入状況の把握に努めるとともに、未導入の自治体へ支援すること、および、全府立学校において、生徒のヘルメット着用推進に取り組むこと、府内企業への通勤に際してヘルメット着用の慫慂などを通じ死亡事故減少に積極的に取り組むこと。
(7)特殊車両の取締り強化
 特殊車両の通行は、車両の長さや高さ、重さなどにより交通安全上や道路の保全の観点で通行許可が必要である。府が、管理道路で実施した直近3か年の特殊車両の指導取締りでは、取締り件数に対して違反の件数が半数近くある。指導取締りを強化するとともに関連企業へのルール周知など、必要な対策を進めること。

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