インバウンド需要の取り込みについて

  • 二〇二〇年の新型コロナウイルス感染症の流行拡大によりインバウンドは大きく落ち込んだものの、二〇二二年六月からは段階的に観光目的の受入れが再開されたところです。さらに、この間、円安の追い風もあり、観光庁によると、二〇二三年のインバウンド消費は五兆円を超え、過去最高を記録しました。大阪に目を向ければ、大阪観光局によると、二〇二三年のインバウンド消費は九千二百十億円となり、二〇一九年と比較しても一一%増加しています。
    さらに、関西国際空港の将来航空需要に関する調査委員会によると、二〇二五年度の関空の総旅客数は万博の需要増により三千七百三十三万人、二〇三〇年度にはアジア諸国からの訪日需要が牽引することにより、最大四千九百六十六万人を見込み、さらなるインバウンド需要の拡大が期待できます。
    こうした背景の今こそ、中小企業がインバウンド需要を取り込み、成長の糧とできる支援が必要だと考えますが、商工労働部の認識とその取組をお伺いします。
  • 〇御指摘のとおり、インバウンド消費は、コロナ禍前を超えて増加しており、飲食業や宿泊業、商業のみならず様々な業種に経済波及効果を及ぼすことから、中小企業がインバウンド需要を取り込むことは、企業が成長する手段として有効です。また、来年度には万博が開催され、さらなるインバウンドの増加が見込まれることから、中小企業がこの機会を逸することなく対応していくことが重要と認識しております。

    〇そのため、大阪府では、商工会、商工会議所と連携して、万博を活用したインバウンド需要の取り込みをテーマにしたセミナーを行うとともに、インバウンドに向けたサービスや商品を新たに開発、販売する中小企業には、商品開発や販路開拓、制度融資による資金支援などのサポートに取り組むこととしております。

    〇また、大阪のものづくり企業の技術力の高さなどの魅力を知っていただくことが重要であるため、百貨店やホテルと連携し、大阪のものづくり企業の製品を展示、販売する機会を創出しております。あわせて、食品、雑貨、工芸品など大阪土産に適する商品五百品程度をブラッシュアップし、万博開催時には駅や空港等での出品の場を提供することとしております。

    〇加えて、ビジネス目的で来阪する外国人に対しても、府内企業を売り込む機会を増やしていくことが重要であることから、万博を契機に開催される大規模展示商談会等に、より多くの府内企業が参加、出展できるよう、主催者から協力を得て、ビジネス交流機会を創出していくこととしております。

    〇これらの支援により、中小企業がインバウンド需要を取り込むことで、稼ぐ力を強化できるよう取り組んでいきます。
  • 府としてもインバウンド需要の取り込みが有効と、そして、機会を逸することのないように対応していくべきと認識されていることは一定理解しました。中小企業にとって、事例共有やサポートを通して機会が創出されるよう、さらなる取組を要望しておきます。

インバウンド需要の取り込みに向けた人材確保支援について

  • 次に、インバウンド需要の取り込みに向けた人材確保支援についてお伺いします。
    飲食業や宿泊業などのインバウンド関連業界は人手不足が深刻です。人手不足の解消に向けた人員体制の強化が必要ですが、例えば、サービス業などでは語学にたけた人材であったり、新商品の開発では、対象国のマーケティングにたけた人材のように専門性の高い人材も併せて必要と考えます。中小企業がこうしたインバウンド関連への対応を行える人材を確保するための支援について、その取組をお伺いします。
  • 〇府では、人材確保を必要とする業界等のイメージアップや雇用促進などを目的に、業界団体等が相互に連携を図るため、大阪人材確保推進会議を設置しております。

    〇本会議では、人手不足感が高まっている建設、製造、運輸、インバウンド関連の業界をターゲットに人材を呼び込み、雇用促進を図るための取組を行うこととしております。

    〇万博を控え、さらなる発展が見込まれるインバウンド関連においては、業界の展望のほか、必要なスキルなどを紹介するセミナーを開催しているほか、従業員のキャリア形成を支援する企業の先進的な取組などを情報発信し、業界への関心を高めております。

    〇これらの取組のほか、インバウンド関連の業界において即戦力となる外国人材の確保に向けて、国内の外国人留学生や海外の人材を対象に、飲食業や宿泊業等の企業も参加する合同企業説明会を行うなど、マッチング機会を提供しております。

    〇今後も、こういった取組を継続、強化し、インバウンド需要の取り込みを図る府内企業を支援してまいります。
  • こうしたインバウンド対応のできる人材というのは、今日、あした、一朝一夕に育たないというふうにも思っておりますので、中長期的な視点を持って、教育庁とも連携をしながら取り組んでいただけたらいいんじゃないかなと思いますので、そうしたことも今後取り組んでいただきたいと思っております。