• 中央図書館管理運営事業についてお伺いします。
    府立中央図書館が地域にとって本当に必要とされる施設となるには、役に立つ、かつ魅力のある施設である必要があります。
    そこでまず、都道府県立図書館としての中央図書館の役割、さらに市町村立図書館との役割の違いについて、地域教育振興課長にお伺いします。
  • 〇府立図書館は、府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から、府民と資料、情報をつなぎ、府民の知りたいという気持ちに応え、学びたいという意欲を育み、豊かで活気ある暮らしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与することを使命としております。

    〇具体的には、市町村立図書館支援、幅広い資料の収集、保存による府民への多様な資料提供、子どもが豊かに育つ読書環境づくりと国際児童文学館の機能充実、大阪の歴史と知の蓄積と伝達、地域の魅力に出会う場と機会の提供という五つの基本方針の下、運営をしております。

    〇市町村図書館との大きな違いは、広域自治体としての市町村立図書館支援と、市町村立図書館では所蔵することが難しい幅広い資料の収集、保存と認識しております。具体的には、市町村立図書館職員への研修事業や市町村立図書館へ府立図書館の資料を貸し出して府民へ提供する協力貸出し、市町村立図書館の蔵書では調査に限界のあるレファレンスを府立図書館が代わりに調査し回答する協力レファレンスなどの事業がございます。
  • 今の御答弁で中央図書館の役割、また市町村立の図書館との違いについては一定理解をしました。
    その中で、市町村立図書館との違いにおいて、図書館支援と資料の収集、保存、具体的には協力貸出し、そして市町村立図書館に代わって府立図書館が調査回答する協力レファレンスを実施されているとのことでした。レファレンスは、図書館の専門職である図書館司書が実施する重要な業務です。具体的にどのようなことを実施しているのでしょうか、お伺いします。
  • 〇レファレンスとは、知りたい情報のある利用者に、図書館資料の情報や文献を提供するサービス、あるいは情報や文献の見つけ方を援助するサービスのことです。言い換えれば、情報や知識へアクセスするセーフティーネットの役割を果たしております。

    〇レファレンスの具体的な事例として、例えば家族が医者から告げられた病気についての調査、裁判所などに提出するための判例調査などの切実なものから、明治初期の新聞の所蔵館調査や、なにわの伝統野菜についての文献調査など多種多様な回答事例があります。

    〇また、個人の利用だけでなく、市町村立図書館からの調査依頼に回答したり、政策立案の支援を目的とした大阪府の職員や議会図書室を通じた議員からのレファレンスも実施しております。

    〇こうした成果は、中央図書館ホームページで公開しているほか、国立国会図書館レファレンス協同データベースでも共有しており、アクセス数の多い事例を公開するなど、中央図書館は貢献度の高い図書館に送られる表彰を毎年受けております。
  • 今、レファレンスについて御答弁をいただきましたが、隗より始めよということで、今回、私もレファレンスをお願いしてみました。ネットで調べてもなかなか出てこない大大阪というものについてお願いをしたんですけども、すぐに十二ページぐらいに及ぶ詳細な大大阪についての資料をいただきまして、中央図書館の力というか、有用性を実感したところでございます。
    さて、維持管理費の事業内容欄では、レファレンス質問件数として目標七万件、実績四万八千八百七十一件となっており、目標と実績に乖離があると思われますが、その理由と今後の利用促進についてお伺いします。
  • 〇レファレンス質問件数の目標値は、平成二十八年度から設定しておりまして、直近五年の目標値と実績値は、平成三十年度は目標八万二千件、実績七万六千七百十八件、令和元年度は目標八万件、実績六万四千五百七十八件、令和二年度は目標八万件、実績四万五千七百十七件、令和三年度は目標七万件、実績四万六千六百十五件、令和四年度は目標七万件、実績四万八千八百七十一件となっております。

    〇レファレンス質問件数は、全体の約七割が来館によるもののため、新型コロナウイルスの影響を受け、令和二年度以降は大幅な減少となっております。また、目標値については、前年度の実績数値から翌年度の目標値を設定することとしていますが、令和三年度以降の目標値の設定に当たっては、新型コロナウイルスの流行に伴い、不定期に休館を余儀なくされるなど、収束見通しの予測がつきにくかったことから、令和三年度以降の目標値は七万件のまま据え置くこととしたところでございます。現在は、新型コロナウイルス感染症の五類移行を受け、来館者数は回復傾向にありますが、レファレンス質問件数については、ほぼ横ばいの状況でございます。

    〇引き続き、より多くの府民にレファレンスサービスを知っていただき、御利用いただくための環境づくりに努めるとともに、インターネットを活用した発信にも力を入れるなど、広報を続けてまいります。
  • 府立図書館の蔵書を活用したレファレンスは府民へのサービスとして重要なものです。だからこそ実効性のある目標を掲げた上で、そこを目指した実績を重ねていく必要があると考えています。
    ここで資料ですが、今御答弁にもありましたが、過去七年分のレファレンスの件数とこの内訳を確認をしました。
    ちょっと小さいのであれなんですが、例えば平成二十八年、目標八万二千五百件に対して、実績八万一千九百四十件となっていました。ここからコロナ禍での外出自粛であったり、臨時休館等々もあって実績が落ちていくことになるわけですが、では代替となるはずの電話、ウェブ、文書等での件数がどうなったかというと、ここの部分なんですけども、大きく変わってないというか、むしろ減少していっているわけでございまして、図書館のユーザーの層自体が大きく変わってしまい、また一度離れた方々が戻ってきていないのではないかというふうに感じているところです。コロナについては一定状況が落ち着いてきているところから、実態に即した適切な目標を設定いただきたいと思います。
    また、図書館の利用形態の多様化が進む中で、直接来館する利用方法から、インターネットを活用した非来館の利用にシフトすることが考えられますので、こうしたことについては潜在需要もあるものと考えています。非来館の利用については、SNS等を利用したインターネットで申し込めるレファレンスへの誘導など新しい広報についても、広報にたけた民間事業者や専門家の知見、ノウハウを活用しつつ積極的に実施をいただいて、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
    今回、図書館について最後取り上げさせていただきましたが、単純に件数が伸びたからいいとか、目標を達成できてないから駄目だとか、そういうことが大事だというふうに言ってるわけではありません。これだけネットが普及している中で、府民が何か調べたいとか知りたい、私の例で言うと、先ほど大大阪のことを調べていただきましたが、そうしたときに、府民の皆さんの頭の中に図書館のレファレンスというものが浮かぶかどうか、それがこの指標とか数字に表れているのではないかというふうに思っていますし、これが続いていくと、図書館というものが本当に要るのかということになっていかないかということを危惧をしているわけでございます。
    御答弁でもありましたけれども、広域的かつ総合的な視点から府民と資料、情報をつなぐ役割、また知りたい気持ちと学びたい意欲に応え、そして新たな知識と文化に相互につながるような図書館、何より府域の図書館ネットワークの核としての役割を果たしていっていただきますよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。