• 三十一ページから三十二ページの課題を抱える生徒フォローアップ事業についてお伺いします。
    この事業は、事業開始当初から定時制にスクールソーシャルワーカーを配置している事業ですが、報告書にはそのうち四校の推移が記載されています。これを見てみると、事業開始当初からスクールソーシャルワーカーを配置している定時制四校の中退率については、事業開始前の平成二十七年度は一七・四%とお聞きしていますが、令和四年度は一〇・五%と六・九ポイント減少しており、一定の成果が出ているように見えます。しかし、一年前の令和三年度の九・九%と比較すると〇・六ポイント増加していることもあり、目標とする七・八%にはまだまだ届いていない状況です。全国的にも中退率や不登校生徒数等は増加傾向にあると聞いています。
    そこで、府立高校全体の中退の実態、令和四年度の取組について、高等学校課長にお伺いします。
  • 〇委員御指摘のとおり、事業実施校の中退率は改善が見られるものの、今なお多くの生徒が中退に至っております。その主な要因としましては、進路変更や学業の不振、人間関係がうまく保てないといったことが挙げられており、その背景には複雑な家庭環境や貧困の問題、他者にはなかなか相談できない悩みを抱えている場合、そういったことがあります。

    〇府教育庁といたしましては、平成二十八年度より、様々な課題を抱える生徒が多く在籍する学校にスクールソーシャルワーカーを配置し、貧困や虐待、家族の介護などによって学習の継続が困難な生徒の支援方策を検討し、福祉機関等につなげるといった支援を行っております。

    〇一方、令和四年度の中退率を見てみますと、学年制の学校にあっては一年生の中退者が全体の約六割に上っており、その人数も増加傾向にあります。この理由としましては、コロナ禍で満足に中学校等に登校できなかった生徒が、高校入学後、学校生活に適応できず、登校意欲が向上しないまま中退に至っているということが要因の一つとして考えられます。

    〇この課題への対応として、府立高校におきましては、特に一年生の中退者が多くなっていることから、中高連携を一層深め、早期に生徒の背景を把握し、スクールソーシャルワーカーと共有することで、生徒の見守り体制を強化し、学校への定着を図ることとしています。

    引き続き、本事業の成果や課題について検証を深め、より効果的な運用に努めてまいります。
  • 府立高校における中退の実態について一定理解はしました。ただ、中退の要因等を聞いていると、そもそもの話、私は本事業の成果を中退率では測り切れないように思います。この成果指標については、全国の定時制高校の二年間の中退率平均を参考に設定したとのことでした。また、それ以前からも、全国の定時制高校との中退率平均が比較対象として一つの基準になっていたようです。しかし、全国と大阪とでは、その生徒の背景、地域の状況が違う部分も多くあるわけで、こうした事業の性格からすると、どちらかといえば、スクールソーシャルワーカーや学校の取組によって、生徒が校内で過ごす時間が増えたり、人と話す時間が増えたことなど、そうした指標が好転していくことに本事業の本質があると思いますので、成果指標として再設定すべきではないかと考えています。引き続き、一人一人の生徒に寄り添い、支援につなげていただきたいと要望します。