• 急激に変化する時代の中で、全ての子どもたちが、将来働くことに意欲を持って、自己実現を図りながら豊かな人生を切り開いていくためには、小学校から高校まで切れ目のないキャリア教育を進めていくことが重要であると考えています。
    また、第二次大阪府教育振興基本計画では、実社会とつながるキャリア教育を幼児教育から高校での教育まで一貫して推進すると示されています。そして、これを実現していくためにキャリア・パスポートを活用することが大切だと考えています。キャリア・パスポートとは、学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自分の変容や成長を自己評価できるツールです。
    そこで、府として、校種間で連携したキャリア・パスポートの有効な活用に向け、市町村教育委員会に対してどのような働きかけを行っているのか、小中学校課長にお伺いします。
  • 〇社会的・職業的自立に向けた子どもたちのキャリア形成のためには、子どもたちが自らの変容に気づいたり、教職員が子どもの成長過程を見取ったりすることができるキャリア・パスポートを、校種をまたいで積み重ねていくことが大切であると認識しております。

    〇そこで、府教育庁から市町村教育委員会への毎年の指導助言の方針・事項等を文書でまとめました市町村教育委員会に対する指導助言事項におきまして、校種間の引継ぎに当たってキャリア・パスポートを有効に活用し、中学校区で子どもの変容を共有することをキャリア教育の重点取組として示しております。

    〇具体的な取組としましては、中学校区でキャリア・パスポートを統一し、取組後の振り返りのアンケートを発達段階に応じて系統的に作成することにより、見取った成長過程を小中学校の教職員が共有している事例などを、市町村の担当者会等で紹介しております。加えまして、高等学校課等関係課とキャリア・パスポートの重要性について認識を共有し、中学校卒業後の活用に向け、多岐にわたる進学先に確実に引継ぎができる工夫を行うよう、指導助言しているところです。

    〇今後も引き続き、各学校におきまして子どもたちの発達段階に応じた効果的なキャリア教育の取組が進められるよう、各市町村への支援や助言を進めてまいります。
  • キャリア・パスポートの積み重ねが大切との御答弁でした。中学校段階では、それぞれ生徒が作成し、学校間で受渡しをせずに、一度生徒に持ち帰らしているとのことのようでございますが、問題は、中学校卒業後の扱いです。私も高校一年生の娘がいますが、つい先日も、中学校のときの教材や小学校のときの作品にビニールひもがかかっており、娘の思い出の品が廃棄されていきました。こうした各家庭で廃棄されていくものの中に、本来積み重ねて作成されていくべきキャリア・パスポートが紛れ込んでいないかと危惧します。
    高校でも、キャリア・パスポートを作成・活用しますが、これも一からの作成だと、これまで何のために作ったのかとなります。そうした意味では、校種間の引継ぎ、それも生徒本人や保護者に認識いただくことが重要になってくると思います。
    また、一連のキャリア教育に関する考え方や計画は、新型コロナ発生前のときにつくられたもので、今後は、個人情報の問題等はあれど、データ化、データ連携等を模索していくべきと思います。教育のデータ化による学びの連続性の確保です。
    キャリア形成とは、学校を卒業して終わりではありません。ずっと続いていくものであり、折々での自らの蓄積が記載されたキャリア・パスポートは、本人にとって財産となるものです。実社会とつながるキャリア教育を幼児教育から高校教育まで一貫して推進いただきますよう要望します。