歴史文化遺産について
平成29年6月定例月議会 開催日:2017.06.21
- 本市には古くから人々が定住し、多彩な営みを物語る遺跡、文化財が数多く分布しており、そのうち重要なものは国・府・市により指定あるいは登録文化財とされていますが、これらの件数を伺います。あわせて周辺地域の状況と本市の文化財の特徴について伺います。
- 本市には、国・府・市により指定あるいは登録された文化財は55件ございます。北河内地域は古くから開けたところで、各市それぞれ重要な文化財が所在しており、寝屋川市には36件、大東市が30件、交野市27件と続きます。本市においては時代的には古代から近代まで、また文化財の種別においても史跡や建造物のほか、仏像などの彫刻、天然記念物など幅広く所在していることが特徴と言えます。
- 枚方市で国・府・市の指定あるいは登録されていた数は55と、北河内では一番多いようです。面積の違いもありますが、枚方市は古代から近代にかけて、幅広く文化財があるのは財産と思います。さて先ほどお聞きした本市の指定・登録文化財の中に、無形の文化財はないようです。人々が日常生活の中で継承してきた伝承や祭りなど、貴重な文化遺産も多くありますが、無形の文化財の保護と活用もシビックプライドの醸成につながると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
- 高度経済成長期以降、急速な都市化の進展に伴い、生活様式が変化し、従来の生業や、それに伴う風俗習慣などが消滅または消滅の危機に瀕しています。本市では、これまで幾度か部分的に民俗文化財調査が行われ、報告書も刊行されていますが、それらを踏まえ、市域の伝統的な文化や生活様式、祭礼や行事などの調査を行い、その記録保存と市民への周知を通して、次世代に伝えていく必要があると考えております。
- 市としても、消滅または消滅の危機に瀕しているということを認識されているとのことです。こうした認識の上に立って、保存し、取り組みを具体的に行っていただきたいと要望します。さて、昨年の6月定例月議会において日本遺産の認定申請について質問し、本市の豊かな歴史遺産を有効に活用する手法の一つとして検討するよう要望しましたが、その後の状況について、国における認定状況や大阪府内での動向、本市の取り組みについてお尋ねします。
-
平成27年度に始まった日本遺産は、現在54件が認定されています。平成29年度は79件の申請に対して17件が認定されており、認定される率は21.5パーセントでした。
大阪府内では、平成29年度に初めて1件認定されました。 また、認定にあたっては、地域の特色を踏まえて構成されるストーリーに対して、当該地域の魅力の背景として歴史に裏打ちされたものが表現されているか、単に文化財の説明になっていないかなど、さまざまな観点から審査されるため、認定に至るハードルは高いものと認識しております。
一方、市制施行70周年事業として、百済寺と百済王氏をテーマとする歴史フォーラムを3月に開催する予定ですが、百済王氏が聖武天皇に献上した金を産出した地である宮城県涌谷町から講師の一人として職員をお招きする予定です。連名での日本遺産の認定申請に、すぐにつながるものではありませんが、まずは、このようなつながりから関係を深めていく契機となるものと考えております。
-
大阪府で一件採択があったこと、また認定率が21.5%となかなか厳しいハードルであることがわかりました。市が動かなければ認定申請はできないもののため、引き続き日本遺産への申請の動きを作っていただきたいと思います。
さて日本遺産を単独の市町村で申請できる条件の一つに、歴史文化基本構想が策定されていることがあります。この歴史文化基本構想とは、地域的な広がりと歴史的な厚みを備えた有形・無形の文化財のまとまりを周辺環境も含めて、まち全体で保護・整備しようとする基本構想であり、日本遺産を申請するしないに関わらず、本市にとって必要な構想ではないかと考えますが、策定についての考え方をお尋ねします。
- 本市では、歴史文化遺産の保存と活用を計画的に推進し、歴史の香り豊かなまちづくりに資することを目的に、平成27年3月「歴史文化遺産の保存と活用のための整備構想」を策定したところでございまして、これに基づき様々な施策を進めています。議員ご提案の歴史文化基本構想については、有形・無形の文化財の総合的な調査だけでなく、自然も含めた周辺環境、住民意識の把握も必要であるため、今後の課題と考えております。
-
歴史文化資産の保存と活用に関しては、現在文化財課を中心に「歴史文化遺産の保存と活用のための整備構想」を策定して取り組みを進められていることは理解できました。歴史文化基本構想の策定に当たっては、周辺環境や住民意識の把握など、文化財のみの調査だけではないということですが、歴史文化遺産についてトータルでまとめ、次世代に残し繋いでいくための資料として、手間と労力をかけても作る価値のあるものと思っています。ぜひ策定への動きを作っていただきたいと要望します。
さて、27年3月策定の歴史文化遺産の保存と活用のための整備構想に記載されている本市の歴史文化遺産は、非常に興味深いものであると考えています。整備構想の最後に、「この貴重な歴史文化遺産を後世へ伝えていくには単に「遺す」だけでなく、「まちづくりに活かす」という視点が大切です。」とされております。そこで、この整備構想を踏まえ歴史文化遺産を活用した産業・文化を含めた形での観光に取り組むべきだと考えますがどのようにお考えですか。
- 市内外を問わず、多くの方に、本市、歴史文化遺産の魅力を伝え、学び、楽しんでいただけることは、意義深いことであると認識しています。そのために、教育委員会と連携し歴史文化遺産を活かした観光コースを設定するなど、本市の観光施策のめざすべき、本市の魅力向上、交流人口の増加、経済活性化の3点を実現していきたいと考えています。
- ただいま、歴史文化遺産の観光への活用について御答弁いただきましたが、これは市民向け、枚方市に住んでいる方々へも魅力再発見として、対象となりうるものと思いますので、そうした観点も持って施策を推進いただくよう要望します。