国民健康保険の運営について

平成25年決算特別委員会(第6日目) 開催日:2013.10.18

  • 国民健康保険の運営について、お尋ねします。

    昨年の決算特別委員会でも指摘しましたが、平成24年度国民健康保険特別会計の歳入決算額は426億6,547万4,551円で、そのうち約8割は国や府からの補助金、社会保険からの交付金、そして一般会計からの繰り入れであり、保険料収入は84億7,017万3,154円と、全体の2割程度でしかありません。収入のほとんどが依存財源であると言えます。

    極めて不安定な財政構造であるため、抜本的な改革が必要ではないかと考えます。国による制度改革について報道されていますが、安定化について、現状をお聞かせください。

  • 国民健康保険被保険者の高齢化、低所得化が進む中、医療給付費は増大しており、歳入総額に対する保険料収入の割合は19.85%となっており、国民健康保険財政は脆弱と言わざるを得ません。財政の安定化を図るため、国や府からの補助金等が定率で定められているほか、高齢者の医療費に係る保険者間の調整や低所得者の保険料軽減分等に充当する一般会計からの繰り入れが政令によって定められています。

    政府は、本年8月の社会保障制度改革国民会議の報告書を受け、国保保険者を市町村から都道府県とすることなどについて、来年度には改革スケジュールなどを含め詳細を示される予定となっております。その中で、国保の財政上の構造的な問題を解決することも示されており、引き続き、国などの動きを注視しながら適切に対応を行っていく考えです。
    松岡博巳国民健康保険課長

  • 保険料は確実に納付していただき、少しでも財政安定化につなげるべきです。税金と違い、保険料は市民税非課税の世帯にも負担していただいていますが、市税と比べ収納率はどうであったか、所得階層別でお聞かせください。
  • 平成24年度の市税の徴収率は95.8%でした。国保保険料の収納率は、年間所得が100万円未満の世帯で85.4%、100万円以上200万円以下で88.8%、200万円以上300万円未満で88.49%、300万円以上400万円未満で89.31%、400万円以上の世帯では92.8%でした。全体の収納率は88.92%で、前年度より0.09ポイント上昇しております。
    松岡博巳国民健康保険課長
  • 今の御答弁から、市税に対して低い収納率であることがわかりました。特に、年間所得が高くなればなるほど収納率が高くなる傾向も一定理解いたしました。

    どの所得であっても本来は払うべきものではありますが、年間所得が高いほど納める側としても払いやすいのではないかとも思えますので、そうした年間所得別の対策も有効かと思います。

    そこで、収納率を上げるためにどのような取り組みがなされているのか、お尋ねします。また、払えるのに払わない滞納者についての対応はどのようにされているのか、お聞かせください。

  • 滞納世帯に対しては、督促状や催告書を送付するほか、訪問や電話による催告、日曜日の納付相談窓口の案内、資格証明書や短期被保険者証の活用により接触を図るなど納付相談によって納付につなげられるよう取り組んでおります。

    納付相談に応じていただけない場合は、規定に従い、所有財産の調査を経て、差し押さえを行うなど滞納処分を進めています。差し押さえ予告通知などによって事前に相談していただくよう機会を設けておりますが、反応がないなどの場合は、特別債権回収チームと連携して催告や換価手続等の対応を行っているところでございます。
    松岡博巳国民健康保険課長

  • 特別債権回収チームと連携して滞納者への対応を行っているとのことですが、平成24年度の実績について、お聞かせください。
  • 平成24年度に国民健康保険課から特別債権回収チームに移管した件数は287件で1億2,040万6,684円でした。収納できた金額は4,841万84円で、収納率は40.20%でした。なお、国民健康保険課においても54件の差し押さえを行っております。
    松岡博巳国民健康保険課長
  • 今後、確実な保険料の徴収は重要であると考えます。収納率向上についてどのような対応をされているのか、お聞かせください。
  • 収納率向上のため、平成25年6月からは、納付の利便性を高めるために、休日、夜間も納付ができるコンビニエンスストアでの納付を可能としました。また、口座振替手続を簡単で確実に行えるペイジー口座振替受け付けサービスの導入を今年度内の開始に向けて準備を進めているところです。

    今後も、口座振替率の向上や初期滞納に対する電話勧奨など多角的な対応で収納率の向上につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
    松岡博巳国民健康保険課長

  • 保険料が高く払えないという声も聞かれますが、保険料を抑制するためには、増大する医療費を抑えていく必要があり、そのための手段の一つとして、特定健診が有効かと思われます。特定健診の経費について、予算額と決算額をお聞きします。
  • 予算額は3億2,811万2,000円で、決算額は2億3,554万4,129円でございました。
    松岡博巳国民健康保険課長
  • それでは、特定健診受診率のこれまでの目標と実績はどうなっているのか、お聞かせください。
  • 平成20年に策定しました枚方市国民健康保険特定健診等実施計画の受診率の目標値は、国の指針に基づき平成24年度において65%としておりました。実績としましては、平成24年度は30.1%と目標を達成させることはできませんでしたが、平成23年度の受診率28.5%から1.6ポイント上昇させることができました。これは、受診率向上のために枚方市医師会との契約の中で心電図検査を追加したことや、健診結果を医療機関から直接返送することなど改善し、受診勧奨キャンペーン事業としてスポーツクラブ利用券や商品券などのプレゼントを行ったこと、さらに、対象者へ直接電話による受診勧奨を行った効果ととらえております。

    なお、第2期枚方市国民健康保険特定健診等実施計画では、平成25年度の特定健診受診率の目標値を35%、5年後の平成29年の特定健診受診率の目標値を60%と設定しております。
    松岡博巳国民健康保険課長

  • 特定健診の受診率は、平成29年の60%の目標に向けて、段階的に毎年5%以上ずつ上昇させていかなければなりません。正直難しいとは思いますが、この目標の達成のために、今後どのような対策を考えているのか、お聞かせください。

    また、予防医療という観点において、口腔環境の把握や改善は非常に重要であると考えますが、健診においても口腔環境改善を取り入れることができないのか、お聞かせください。

  • 今年度から、日曜日健診について、地域コミュニティーや自治会の協力を得て、市民会館だけでなく津田生涯学習市民センターにおいても実施したほか、がん検診との同時受診を図り、65歳と70歳の方に大腸がん検診の無料クーポン券と特定健診受診券をセットで送付することとしました。

    また、電話勧奨につきましては、昨年度業者委託により実施したところ、直接お話しできた1万4,444人のうち約半数である7,058人の受診につながったことから、今年度においては、専任の臨時職員を複数名配置し、引き続き一度も受診のない方や過去に受診したが今年度受診されていない方に対し、一人一人を意識した受診勧奨を11月から実施してまいります。

    未受診者へのアンケート結果などから、休日健診やがん検診との同時受診などの受診環境を充実させるとともに、交付金を活用した受診勧奨キャンペーンなどを織りまぜながら、特定健診の効果や重要性などの広報、周知に努め、受診率を向上できるよう効果的に事業を展開してまいりたいと考えております。

    また、口腔環境の改善につきましては、若いうちからの口腔ケアが重要という観点から、本市では保健センターが中心となり、妊産婦や乳幼児の保護者を対象とした成人歯科健診のほか、35歳から80歳の5歳刻みの年齢を対象とした歯周疾患健診を実施しております。

    今後は、特定健診の対象者に本市の歯科健診を広くPRするとともに、国民健康保険課で取り組む保健事業やパンフレット等を通じて情報提供に努めてまいります。
    松岡博巳国民健康保険課長

  • 医療については医療機関の充実等で解決できる部分もありますが、健康医療都市を掲げるのであれば、それだけでは不十分だと思います。だれしも望んで病気になる人などいないわけですし、これからの高齢社会を考えると、医療機関の充実ではなく、健康の維持、増進に注力していくべきです。

    その意味で、予防医療に取り組んでいかなければなりません。それは、生活習慣の改善や予防接種により病気にならないようにするということ、そして、今回の質問でもありました早期発見、早期治療に努めること、また、病気になっても重症化させないことなど、さまざまな手法を組み合わせていかなければなりません。当然、病気にならないようにするというところから、お金もだんだん高くなっていき、重症化すれば本当にお金がかかってしまいますので、早い段階から生活習慣の改善といったところに力を入れていくことが必要だと私は思っております。

    今後、中核市になれば、保健事業の在り方も変わってくると思いますけれども、いずれにせよ、特定健診の受診率向上、また予防医療、とりわけ口腔ケアについては力を入れていただきたいと思います。本市において、健康都市ということを文化として誇れるように、取り組みの強化を要望しておきます。