国民健康保険について

平成24年決算特別委員会(第6日目) 開催日:2012.10.24

  • 国民健康保険について、質問させていただきます。

    枚方市の保険料の水準は、府下43市町村中、何位ぐらいになるのでしょうか。また、全国的に見ると、保険料が高い方なのか、安い方なのか、お聞かせください。

  • 平成23年度における1世帯当たり保険料の決算ベースの調定額は14万4,614円で、大阪府下43市町村中40番目となります。北河内では、寝屋川市が15万5,421円で30番目、守口市は15万3,136円で34番目、府下で1番目は千早赤阪村で19万6,379円、最も低いのは、門真市で13万4,692円となっております。

    大阪府平均は15万1,789円、全国市町村平均は、平成22年度数値で15万4,872円となっておりますが、保険料の算定方法は市町村によって異なり、被保険者の所得水準によっても平均値が左右されるほか、応能割、応益割の比率の違いがあるため、安いかどうかは一概には言えません。

    しかし、保険料率の所得割で見ますと、医療分、後期分を足しまして9.17%となり、府下43市町村中33位になります。府下1位の守口市は13.13%ですので、この所得割で比較した場合は、枚方市の保険料は高くはないと言えます。
    真鍋美果国民健康保険課長

  • 保険料を算定する方法が市町村ごとに異なることから、一概には言えないにしても、枚方市は比較的高くはないということはわかりました。

    さて、平成23年度の国民健康保険特別会計の歳入決算額は約413億7,000万円となっていますが、このうち、保険料収入は約82億1,600万円と、全体の20%程度です。すなわち、ほとんどが補助金や交付金などの依存財源ということで、これは大変不安定な財政構造だと考えるんですけれども、今後の国保の財政見通しをどのように考えているか、お聞かせください。

  • 被保険者の高齢化、低所得化、医療給付費の増加は、今後ますます進行すると考えられます。例えば、平成23年度末の65歳以上の被保険者の割合は、全被保険者の35.2%で、後期高齢者医療制度が発足した平成20年度と比較して、1.6ポイント増加しています。また、全体の69.9%の世帯は、所得が150万円以下で、平成20年度に比べ、5.9ポイント増加しています。この間、保険給付費は約36億8,900万円増加し、歳出全体に占める割合も実質2.9ポイント増加しています。

    構造的に脆弱な国民健康保険財政の安定化を図るため、国・府からの補助が定率で定められているほか、医療を受ける頻度が高い前期高齢者の医療費に係る保険者間の調整や、低所得者の保険料軽減分等に充てる一般会計からの繰入金がルール化されています。

    このように、国保財政が脆弱なことを踏まえて、法律や国が示す基準などにより制度設計されており、歳入総額に占める保険料の割合は19.86%となっています。

    今後の財政運営につきましては、大阪府は、平成22年度の国民健康保険法改正に伴い、大阪府国民健康保険広域化等支援方針を策定し、市町村国保の運営の広域化や財政の安定化を目指し、収納率などの目標設定や医療費適正化の取り組みなどを進めています。国による制度改正とともに、今後の動向を注視し、財政の健全化を目指したいと考えています。
    真鍋美果国民健康保険課長

  • 被保険者のうち、35.2%が65歳以上の方で増加傾向にあり、所得が150万円以下の世帯の方が69.9%、これも増加傾向、一方で保険給付費は約36億8,900万円増えているといった構造的なものから、現状での国や府の補助の必要性や重要性は理解できました。

    国民健康保険は、日本社会全体の構造的な問題が反映されているとも感じますし、枚方市だけでは解決がなかなか難しいところだとは思うんですけれども、歳出削減のためにどのような取り組みを行っているのか、お聞かせください。

  • 枚方市国保として力を入れているのは、特定健診の受診率向上と医療費適正化です。

    医療費のうち、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が3割近くを占めていて、食生活や運動などの生活習慣が長期間積み重なり発症します。しかし、被保険者一人一人が健診を受診し、生活習慣を改善することが、将来の医療費削減につながります。

    特定健診の受診率向上対策としては、未受診者へのダイレクトメールでの受診勧奨や、独自の検査項目の追加、人間ドック受診者への補助などに取り組んだ結果、平成23年度の受診率は、現時点で28.5%となり、平成22年度と比較して1ポイント以上上昇しましたが、なお3割には満たない状況です。今年度は、心電図検査を項目に加え、新たに電話での受診勧奨や、市内スポーツクラブ体験チケットなどを受診者へプレゼントする事業などを行い、受診率をさらに向上させたいと考えています。

    一方、医療費適正化対策としては、本来、保険請求が認められない内容が含まれていないか、医療機関や整骨院などからの請求内容の点検を行っています。具体的には、専門職員と委託業者が請求明細を点検し、審査機関へ再審査を申し出たり、柔道整復の施術を受けた被保険者へ内容の事実確認を行っています。交通事故などの第三者行為については、加害者側への請求を行っています。また、ジェネリック医薬品の普及についての啓発を行っています。
    真鍋美果国民健康保険課長

  • 今、御答弁をいただきましたものから、2つ細かくお聞かせいただきたいと思うんですが、まず、ジェネリック医薬品の啓発はどのように行っておられるんでしょうか。そして、効果はどのようなものでしょうか。
  • 枚方市国民健康保険では、平成21年度からジェネリック医薬品の普及・啓発リーフレットの配布や、被保険者が薬局等の窓口で提示できるジェネリック医薬品希望カードの全世帯配布を行っています。また、平成22年度からは、主に生活習慣病により調剤薬局で新薬の処方を受けている方を対象に、ジェネリック医薬品に変更した場合との差額通知を行っており、平成23年度は2,586件送付しました。

    調剤薬局で処方された医薬品のうち、ジェネリック医薬品が占める割合は、数量ベースで、平成23年3月時点で23.8%となっています。なお、厚生労働省の全国調査では、平成23年9月時点で22.8%となっており、枚方市国保における方が1ポイント高くなっています。
    真鍋美果国民健康保険課長

  • ジェネリック医薬品については、厚生労働省も平成24年度までに数量シェアを30%以上とすることを目標とするなど、その普及を政府も推奨しています。ジェネリック医薬品の普及は、医療費の削減につながり、被保険者にとっても負担が減ることなどから、その有用性は高いと思います。市としても、今後、ぜひ周知、啓発に取り組んでいただき、利用促進を図っていただきたいと思います。

    もう一つ、柔道整復の施術を受けた被保険者への内容の事実確認とは何か、お聞かせください。

  • 柔道整復の場合、保険対象となるのは、骨折、打撲、捻挫に限られ、肩凝りや腰痛での保険適用は認められていません。ただ、医療の請求と異なり、傷病名と施術内容、日数について明確な制限がありません。このため、書類上の点検だけでは不十分で、請求内容の事実について被保険者に確認する必要があり、平成23年度は請求日数の多い431件についてアンケートを行いました。
    真鍋美果国民健康保険課長
  • 柔道整復については、その保険対象を骨折と打撲と捻挫に限られることから、内容についての確認をされたことは理解いたしました。今後、適正に行われるようしっかり確認を行っていただきたいと思います。

    さて、事務概要341ページによれば、督促状の発送件数が年間約14万通になるとのことですが、どれぐらいの金額になるんでしょうか。

    鳥取市では、納期限を過ぎた1件につき、督促手数料として1通につき100円を徴収しています。割引を行うことは法律的な観点から難しい部分があるとは思いますが、先ほどの鳥取市のように、督促状の郵送料を手数料化し、請求することについてのお考えを、最初にお尋ねした督促状の合計金額とあわせてお聞かせください。

  • 平成23年度の督促状や催告に係る通信運搬費としては、約1,142万7,000円となります。

    地方自治法第231条の3第2項では、納期限までに納付しない者に対し、「条例の定めるところにより、手数料及び延滞金を徴収することができる」旨規定されており、本市国民健康保険条例では、延滞金については規定を設けていますが、督促手数料については規定していません。低所得者が多い国保にあって、督促手数料を徴収することの有効性について、今後慎重に検討したいと考えます。
    真鍋美果国民健康保険課長

  • 今回の一連の質問の中で、国民健康保険では、構造的な問題から、納付が経済的に厳しい方が多いということはわかっております。しかし、一方でそうした苦しい状況でも納期限内に納めている方もおられるわけで、納期限までに払った方と払わなかった方が同じ条件というのは釈然としない部分もあります。全員から手数料を徴収することの影響を懸念されるのであれば、複数回の方などに絞るなど、手法は工夫できる部分もあると思います。

    督促の後、差し押さえをしているケースがあるようですが、事務概要によれば、平成23年度は73件、金額にして3,025万8,291円となっています。これも、滞納の長期化に対する抑止効果の意味合いもあると思います。期限内の納入を図る観点からも、一度調査と検討をしていただきたいと思います。

    最後に、決算概要説明書214ページ、公債費として約90万7,000円、短期資金の利子支払いに要した経費として上がっていますが、これは削減することができないのでしょうか、お聞かせください。

  • 一時借入金については、収入と支出のタイミングにより、市が管理する資金が不足する際に、金融機関等から短期資金として借り入れるものであり、その利子については、一般会計や各特別会計での収支不足額に応じて、会計間で案分して負担しているものです。
    真鍋美果国民健康保険課長
  • 最後に意見と要望を申し上げます。

    国民健康保険法の改正により、財政運営の都道府県単位化が進められることから、今後、都道府県の責任は強化されると考えられます。大阪府は、前年度繰上充用金の合計額が、全国で比べても別格に多いことから、大阪府としても、これまで以上に各市町村に対してプレッシャーをかけてくることは間違いないと思います。今後、市民が安心して医療を受けられる環境の整備に向け、今回の御答弁にありましたような各種の取り組みから、保険給付費の伸びを抑制していただきたいと思います。

    また、ウイルス性の病気の流行などによる給付費の急激な伸びや、国庫支出金の精算に伴う返還金などの財源を確保していくためにも、前年度繰上充用金の解消を目指すことを要望するとともに、将来的には、一般会計からの基準外繰り入れ等によらない国民健康保険財政の運営を目指していただきたいと要望しておきます。