• ふるさと納税制度は、自分が応援したい地域に自分の意思で納税できるよう、平成二十年に創設をされました。その後、ポータルサイトの台頭や返礼品の充実、税控除手続の簡素化などにより、令和四年度の寄附額は制度開始時の約百二十倍となる約九千六百五十億円、そのうち大阪府への寄附額は約三百二十億円と、制度の普及が進んでいます。
    この制度を利用するため、大阪府教育庁では、大阪教育ゆめ基金を活用し、子どもたちの教育を充実させるための寄附のお願いを広く呼びかけてきたとのことです。
    令和四年度から、寄附者の意向をより反映することができるよう、府立学校等の教育機関が実施したい取組に対して寄附いただけるよう、制度を改正したとのことですけども、今年度までの府立学校等への寄附状況について、教育総務企画課長にお伺いします。
  • 〇ふるさと納税制度は、生まれ故郷のみならず、お世話になった地域やこれから応援したい地域へ貢献できる制度であり、直接学校へ寄附するよりも税額控除が大きいため、より多くの寄附が見込めるものと認識しております。

    〇令和四年四月から、大阪教育ゆめ基金の新しい取組として、子どもたちの学力向上など、従来の府の教育全体の充実を目的とした寄附に加えまして、府立学校等の教育機関が作成する実施計画書をホームページ等で公開し、寄附者は支援したい取組を選んで寄附していただけるよう、制度の改正を行ったところでございます。

    〇この新制度を活用して寄附金を募集した府立学校等の教育機関は累計で十六機関となっており、令和四年四月から令和五年十月五日までの実績といたしましては、延べ二百八十七人の方から二千三百五十六万四千円の寄附を頂いているところでございます。
  • 御答弁をいただきましたが、制度改正から一年半といったところで延べ二百八十七人、まだまだ人数も少ないと思います。実際私も何人か公立高校出身の地方議員にも話しましたが、全く知られていない状況でありまして、まだまだ個別の学校を応援できる制度ということについて周知していく必要があるのかなと思ったところです。

母校応援ふるさと納税制度の内容

  • さて、今回、大阪府がふるさと納税制度を利用して母校応援ふるさと納税制度を新たに創設されると聞いていますが、どのような制度内容を検討されているのでしょうか、私学課長にお伺いします。
  • 〇このたび創設いたします母校応援ふるさと納税制度は、母校など大阪の高校を応援したいという寄附者の思いを大阪府が各学校に送り届けることで、大阪の教育の向上につなげられる仕組みにしたいと考えております。

    〇具体的な手法としましては、寄附者が応援したい学校を指定しまして大阪教育ゆめ基金へ寄附をしまして、そしてその寄附金を財源にし、府が当該校へ交付することを検討しております。

    〇この母校応援ふるさと納税制度を通じまして、各学校の教育活動等を支援してまいります。

他府県居住者からの寄附獲得に向けた取組み

  • 母校応援ふるさと納税制度について分かりました。
    この母校応援ふるさと納税制度のベースとなるふるさと納税制度は、寄附を受けた自治体は税収が増加する一方で、寄附者が居住する自治体は税収が減少することになります。これも、寄附された住民税のうち基準財政収入額の七五%が減少し、その減少分が交付税で賄われてしまうことから、目には見えにくい制度となっています。
    こうした制度の特性を考えれば、母校応援ふるさと納税制度では、府民のみならず他府県居住の方により多く寄附していただくことが重要と考えます。他府県居住者からの寄附獲得に向けた取組について、私学課長にお伺いします。
  • 〇母校応援ふるさと納税制度では、大阪府民からの寄附のみならず、他府県に居住されておられます方からも寄附していただくことが、私立、府立にかかわらず重要と認識しております。

    〇こうしたことから、東京事務所と連携し、首都圏での広報プロモーションを行うとともに、寄附を希望する各学校の同窓会誌等を通じ、広くOB、OG等に直接寄附を呼びかけるなど、様々なツールや機会を活用いたしまして効果的に制度周知を図り、各学校の教育活動等への支援に結びつけてまいりたいと考えております。
  • 御答弁から、首都圏でプロモーションを行っていくとともに、各学校、各同窓会とも連携して取り組んでいくことと受け止めました。
    同窓会については、ある公立学校の関係者から、卒業者から、個人情報の観点で苦慮されているというふうなこともお聞きしました。どのようにしていくのが効果的なのか、またそうした部分、サポートいただければと思っております。ちなみに、私も京都のある私立大学を卒業しましたが、その同窓会報に京都市のふるさと納税のことも書かれていました。
    他の都道府県ということで一点申し上げますと、国立社会保障・人口問題研究所さんが人口移動調査というものを定期的に実施しています。数万人の単位で全国の方を対象に、どこ出身なのか、どの年齢でどれだけ引っ越すか、移動の理由といったものをデータ化しているものです。その中で、出生が大阪のうち、現住所が大阪以外の方の割合というデータがありまして、そこで一番多かったのは兵庫県、次が奈良県、東京、京都、神奈川と続いていきました。逆に、現住都道府県別に見た出生都道府県のデータというものもあり、そこでは、大阪出生の方が他府県でどの程度の割合となっているかが見ることができます。今後、より効果的に個別にプロモーションしていく場面においては、そうしたデータも参考になると思います。

寄附を通して学校を応援したくなる仕組みづくり・戦略

  • さて、この母校応援ふるさと納税制度は、これまで授業料や経常費助成など公費助成が主な収入源であった私学にとって、新たな財源確保策として大いに期待できるものです。この仕組みが定着し、寄附をより多く獲得できるようになれば、各私学は、生徒、保護者のニーズを捉えた魅力・特色ある教育を機動的に展開しやすくなると考えます。
    また、これは府立高校についても同様のことが言えます。そのためには、広く寄附を呼びかけるだけでなく、しっかりと学校の応援団、リピーターを生み出し、安定的に寄附いただける環境をつくっていくことが重要となります。
    そこで、寄附を通して各学校を応援したくなる仕組みづくり、戦略が必要と考えますが、私学課長の所見をお伺いします。
  • 〇委員御指摘のとおり、府内の高校が安定して寄附を得られる環境をつくっていくためには、継続的に寄附していただけるリピーターを確保していくことが、私立、府立にかかわらず重要であると認識しております。

    〇このため、各学校の保護者会や同窓会へ積極的に制度周知を行うとともに、寄附金の使い道や在校生の感謝の声などを同窓会誌等を通じて情報発信するなどし、自身の寄附の効果を実感していただき、継続して寄附したいと思っていただけるような取組を行ってまいりたいと考えております。

    〇こうした取組を通しまして、母校応援ふるさと納税制度の定着とともに、実効性を高め、府内の高校のさらなる魅力・特色づくりを支援してまいります。
  • 御答弁から、継続的に寄附いただける仕組みを整えていくとのことでした。
    ふるさと納税について話すとき、返礼品は関心事として出てきますが、府としては用意はないとのことでしたが、この取組の推進に関して言えば、例えば学校に関連するようなもの、ノベルティーなどは、寄附者とその学校との結びつきを強めていくという点からも意味があるものと考えられ、寄附金の使途や学校の取組等のレポートとともに有効ではないかと思いますので、検討いただきますよう要望します。
    母校応援ふるさと納税制度は、画期的な取組と受け止めています。他府県の効果的なプロモーション、また持続的に寄附金が集まるようなマーケティングに取り組んでいただいて、大阪の高校の魅力・特色づくりにつなげていっていただきますよう要望します。