国民健康保険の運営について
2018年 決算特別委員会 C日程 開催日:2018.10.31
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決算概要説明書1ページ?2ページ「歳入歳出決算総括表」では、国民健康保険特別会計の実質収支は約5億6千2百万円の黒字、単年度収支は約8億3千9百万円の黒字となっています。
平成30年度からの国民健康保険制度改革、いわゆる広域化を前にした最終年度で、長年の懸案課題であった累積赤字の解消が実現された訳ですが、歳入・歳出においてどのような要因があって黒字化につながったのか、お伺いします。
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本市の国民健康保険の平成29年度の年間平均被保険者数は9万606人であり、これは平成28年度と比べて約6千人の減少となっております。
こうした中で、歳出面では、医療給付などに要する保険給付費について、被保険者数の減少に加え、平成28年度診療報酬改定によりC型肝炎治療薬等の高額薬剤の薬価が見直されたこと等の影響により、平成28年度決算と比べ10億1,908万円の大幅な減少となりました。
歳入面では、保険料の収納対策の強化により、保険料収納率が平成28年度と比べ、現年分保険料で0.45ポイント、過年度分保険料で11.16ポイント向上した結果、被保険者が減少しているにもかかわらず、保険料収納額は平成28年度決算より約1,437万円増加となりました。
また、保険給付費の減少に伴って国や府の支出金が減額となった一方で、平成30年度国民健康保険制度改革に向けた医療費適正化への取組み等に応じて国から交付される特別調整交付金が増額となりましたこともあり、これらの要因を合わせまして、平成29年度の単年度収支が8億3,924万7,555円の黒字となったところでございます。
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診療報酬の改定といった社会的な要因や保険料の収納対策などの市の努力、そうしたものが生んだ黒字ということは一定理解できました。
しかしながら市町村単位の運営では将来的に立ち行かなくなるという視点から、都道府県が財政運営の主体となるよう制度改革、広域化が行われた訳でもあり、平成30年度以降は都道府県が示すこれまで以上に厳しい財政規律の下、市町村は国民健康保険を運営していくことになります。
これは長い目で見て国民皆保険制度の安定化につながるものと考えますし、本市でも適切な対応を求めたいと思います。
また同じく長い目で見れば、国民医療費が増え続ける状況は、医療に係る負担と給付のバランスをさらに崩しかねず、長年にわたり堅持されてきた国民皆保険制度の今後を左右する、重要な課題となっております。
そこで、平成29年度の本市における医療費適正化の取り組みの状況と課題についてお聞きします。
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本市国民健康保険では、健康寿命の延伸と医療費適正化の観点から、特定健康診査と特定保健指導など生活習慣病の予防と重症化を防ぐための取り組みを重点的に進めており、平成29年度は新たに「糖尿病性腎症重症化予防事業」を開始いたしました。
また、医療費通知の発行など、ご自身の医療費に関する情報をお伝えし理解していただく取り組みも進めてまいりました。
これらの事業につきましては、広域化となっても重要であり、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
しかしながら、特定健康診査の受診率につきましては、目標と実績に大きな開きがあり、本市としても様々な受診勧奨等の取り組みを進めているところではございますが、受診の必要性についてご理解いただけない方も多くいらっしゃいます。
被保険者の皆さんの健康に対する意識をどのように高めていくのかが課題となっております。
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生活習慣病に係る医療費の適正化は、生活習慣の見直しなど、市民の皆さん一人ひとりの健康に対する日頃の心がけと実践の積み重ねがあって、はじめて実現するものです。
そういった意味では、特定健康診査の受診勧奨といった、個人の意識や行動の変容を促す取り組みとともに、健康づくりを大切にする社会の形成をめざした取り組みに、本腰を入れなければなりません。
近年、市民の健康づくりを政策の重点に据える自治体も増えています。
本市でも、健康や生活習慣といったキーワードに関係する行政分野は幅広く存在すると思いますが、関係部署がより一層連携し、市民の健康を大切にする社会形成を総合的に進めることができるよう、体制づくりを推進いただきますよう要望いたします。