国際交流施策について

2018年9月定例月議会  開催日:2018.10.02

  • 国際社会・グローバル社会と言われて久しいものですが、枚方市としては施策としてあまり力を入れてこなかったのではないかと思います。5月に開催された総務委員協議会では、「文化国際財団の解散を前提に、在住外国人支援など国際関係事業の充実に向け、国際交流施策に関する市としてのあり方について整理・検討する」との報告がありました。

    そこでまず、国際交流施策における在住外国人支援の前提となる現状について伺います。この10年間の、枚方市における在住外国人の数や出身国籍・地域については、どのような動向にあったのか。また、将来どのような見通しを持っているのか、お尋ねします。

  • 国際交流施策についてお答えいたします。

    まず、本市の外国人人口の総数ですが、平成29年は合計4,128人で、平成20年の4,330人から202人、4.7%の減少となっています。出身国籍・地域別では、韓国・朝鮮、アメリカ、ブラジルが大きく減少する一方、ベトナム出身者が264人452%と急増しています。また、中国・フィリピン・インドネシアなどアジア出身者が増加しているのが特徴です。

    次に将来の見通しですが、在住外国人の数は、政府の政策により大きく左右されるため、予測は困難でございます。

    しかしながら、国において一定の専門性・技能を有する外国人労働者の受け入れの検討が進められていることから、引き続きアジアからの新たな労働者層が増加する可能性が高いと考えています。

    産業文化部長

  • 先程、部長から、本市にお住まいの外国人では、ベトナム出身の方が264人452%と急増していると答弁がありました。

    また、今後の見通しとしても、労働力不足が深刻になる中で、政府が外国人労働者を積極的に受け入れるような政策に舵を切れば、本市の外国人人口は増加する可能性が高いとの見解でした。

    では、このような状況の中で、市の対応について、お尋ねします。

  • 本市では、枚方市文化国際財団の支援のもとで活動されている「枚方市日本語ボランティアの会」の協力を得て、日本語を学びたい、日本語がわからなくて困っているという外国人の方のために、日本語学習のお手伝いをしていただいております。

    具体的には、25ヶ国、約100人の外国人に対して、約80人の様々な立場・経歴をお持ちのボランティアスタッフが、マンツーマンを基本に、日本語学習と多様な交流が行われています。

    また、言葉の学習を通じて、日本の文化や生活習慣、マナーを学ぶきっかけにもなっています。

    産業文化部長

  • 私は国際交流施策といわれる施策は、海外友好都市等との国際交流や、多文化共生など様々な切り口のものが含まれている総合的なものだと思います。

    従って、状況にあった適切な施策展開には、それを位置づける施策体系と、幅広い連携体制のもと、国際化をめぐる様々な情報収集や現状把握を行うことが必要です。

    このような中で、市は現在、在住外国人が置かれている状況をどのように情報収集し、そこで把握した課題に対して、どのような対応をしているのか、お尋ねします。

  • 国際化をめぐる状況把握と対応には、広域的な連携と行政内部の連携が必要だと考えています。

    そこで、大阪府の国際担当部署や大阪府国際交流財団との間において在住外国人のニーズや施策の共有化を図るとともに、庁内各課と文化国際財団の連携のもと、「外国人のための生活ガイド」の対応言語の拡大、市ホームページの自動多言語翻訳、医療通訳士派遣事業、翻訳・通訳派遣などに取り組んでいるところです。

    産業文化部長

  • 在住外国人に対して、何らかの対応をされていることはわかりましたが、国際施策、国際交流施策としては弱いと言わざるを得ません。
    現在、欧州では、たくさんの移民を受け入れる中で、様々な社会問題が発生しています。

    我が国では、まだ、そうした状態にはなっていませんが、今後の人手不足の中で、外国人労働者とその家族がジワジワと増えることは避けられません。

    そうした状況の中、国では新たな動きが出てきています。去る5月29日、超党派の国会議員約50人でつくる「日本語教育推進議員連盟」総会において、国内で生活する外国人に対する日本語教育の充実をめざす「(仮称)日本語教育推進基本法」原案が了承されました。

    この基本法案の特徴には、日本語教育の推進に、国と地方自治体の責務を示されたこと、日本語教育機会を「希望するすべての人」に確保されることをめざすことなどとあわせて、日本語を母語としない子どもの教育に対し、必要な施策を講ずることも明記されています。

    そこで現在、本市には、日本語を母語としない児童・生徒が何人いるのか、また子どもたちに対する日本語教育と学校生活に関わる支援の現状と課題が何かについて、教育委員会にお尋ねします。

  • 8月31日現在、日本語を母語とせず、日本語指導が必要な児童・生徒は市立の小中学校で62人います。

    支援の現状としましては、日本語指導が必要な児童・生徒が在籍する学校に、基本的な日本語及び教科の学習支援や学校生活における相談等を行う教育指導員を派遣し、教職員と連携を図りながら、児童・生徒の学校生活への適応の促進や、周りの児童・生徒とのコミュニケーションの醸成に努めております。

    課題としましては、日本語指導が必要な児童・生徒が、22の小中学校に在籍し、さまざまな種類の言語にわたることから、その一つ一つの言語に対応できるよう、より多くの教育指導員の確保が必要と考えております。

    学校教育部長

  • それぞれの言語に対応できる教育指導員の確保が課題ということです。

    しかし、今後、少数言語の国の子どもたちが本市の小中学校に入学した際にも、十分な支援ができる環境を整えることが必要と考えます。

    教育指導員の派遣で十分な対応ができない場合、支援ボランティアを募集し、画面を見て会話できるIT技術などを活用して日本語及び教科の学習の支援等を補うことも考えられます。少数言語の国の子どもたちへの支援について、対応をお伺いします。

  • 教育委員会として、日本語の習得が不十分な全ての児童・生徒に対して適切な支援が必要であると認識しています。

    今後も、引き続き、関係課や関係機関と連携し、教育指導員の人材確保に努めてまいります。 

    学校教育部長

  • 国際交流施策においては、今、私たちと同じ地域の中で暮らしている子どもたちを含む外国の人たちが、安心して暮らせるようサポートすることは、重要なことと考えています。

    そして、異なる文化の中での生活に伴うストレスや不満、地域や学校でのトラブルやいじめなどを未然に防ぐためには、枚方市日本語ボランティアの会による日本語学習のように、市民がマンツーマンで言葉や文化の理解をサポートする仕組みを幅広く作っていかなければならないとも思います。

    そこで、文化国際財団を解散したあと、市はどのような観点で国際交流施策を進めて行こうと考えておられるのか、お尋ねします。

  • 今後、様々な行政部門が連携しながら、在住外国人の皆さんが安心して暮らせるための支援や国際交流の方策などを多角的な観点で整理し、国際化に向けた検討を進める考えです。

    産業文化部長

  • 今回、文化国際財団の解散の方向性も一つのきっかけとして、国際交流施策のあり方が焦点化しているわけですが、社会状況としては、すでに様々な対応策を必要としていると思います。

    そこで、今後、市として国際交流施策のあり方を検討するにあたり、どのような対応策が必要だと思われますか。お尋ねします。

  • 文化国際財団では、国際交流事業をはじめ、国際化コーディネーターの配置やボランティア通訳の確保などに取り組んでおりますが、財団の今後のあり方を検討するに際して、理事会では、「国際化は友好都市交流だけでなく、近年はインバウンドや在住外国人について考える必要がある」との意見も出されました。

    国際化を取り巻く状況が大きく変わる中で、インバウンドへの対応や在住外国人への対応機会がさらに増加することも想定されることから、それらに対処すべく安定的でかつ効率的な人材確保などが求められるものと考えています。

    産業文化部長

  • 国際化を取り巻く状況が大きく変わる中で、変化に対応し施策を展開しなければならないところ、これまで行政と外部パートナーの団体間で、問題意識をすり合わせる機会や、また国際交流施策に関するマネジメント人材を確保できなかったことが課題であると思います。

    今後、あらためて国際交流施策を検討するにあたっては、これらを充分留意いただくことを要望します。